ほぼ全員が男性で構成される総合職のみに家賃を補助し、厚遇するのは男女差別だとして、国内ガラス最大手AGCの子会社で勤務する一般職の女性(44)が損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は13日、男女雇用機会均等法が禁じる「間接差別」と認め、子会社に慰謝料など約378万円の賠償を命じた。
女性の代理人弁護士によると、2007年施行の改正男女雇用機会均等法で導入された「間接差別」が裁判で認定されるのは初めて。
子会社は「AGCグリーンテック」(東京)。1999年の設立時から2020年までに在籍した総合職計34人のうち、女性は1人のみだった。一方で一般職は計7人のうち女性が6人だった。
別所卓郎裁判長は、補助制度の利用を総合職に限ることは「事実上男性にのみ適用される福利厚生で、女性に相当程度の不利益を与えていることに合理的理由はない」と認定した。こうした運用を続けることは同法の「間接差別」に該当すると判断。家賃補助の差額のほか、女性に精神的苦痛が生じたとして慰謝料支払いを命じた。
女性側は一般職の男性1人との間にも不当な給与差があると主張したが、判決は「女性が性別を理由に不利に扱われている事情はうかがわれない」として退けた。
判決によると、女性は08年に一般職として入社し、「管理室」で社員の給与算定や経理などを担ってきた。AGCグリーンテックでは賃貸住宅を「社宅」として借りる際に家賃の一部補助を受けられるのは総合職に限定されていた。
同社は「判決の内容を吟味した上で、今後の対応を検討していく」とコメントしている。
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総合職厚遇は男女差別 AGC子会社に賠償命令
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琉球新報朝刊
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