古謝景春南城市長のセクハラ疑惑を受けて市議会特別委員会が実施した職員アンケートを巡り、南城市議会は6~7日の臨時会で「古謝市長からキスされた」という回答の存在を漏えいしたとして、2市議を懲罰した。識者や市民が「実相を伝えようとする者に対する威嚇行為」などと批判する中、与党側は特別委の議論再開の条件として懲罰を優先した。しかし、懲罰決定後も議論再開に難色を示す意見が出ており、アンケート結果公表の見通しは立っていない。
6日午前10時に始まった臨時会は、7日午前0時15分ごろまで続いた。中立会派の仲間光枝市議に「議場での陳謝」、与党の銘苅哲次特別委副委員長に「戒告」を求める懲罰動議を可決した。
仲間市議は6日深夜の本会議場で、与党側が多数決で決めた謝罪文を読み上げた。終了後、「事を進めるために陳謝を受け入れた」と語った。
閉会まで傍聴した市民団体「ハートのまち南城 人権ファーストの会」の共同代表は「懲罰を受けた市議は、アンケートに書いてくれた人を救おうと頑張っていた。懲罰は数で押し切るハラスメントだ」と議会の対応を批判した。「なぜ『(議場で)ウソをついた』と言っている市長の懲罰はしないのか」と懲罰を主導した与党議員に詰め寄る市民もいた。
臨時会終了後の7日未明、中村直哉議長は「懲罰が決着したので、いろいろ課題があるが、アンケートの公開に向けて前に進めてほしい」と本紙の取材に語った。
ただ「古謝市長からキスをされた」という回答の存在を伝えた、先月28日付の本紙報道に反発している特別委の安谷屋正委員長は「まだ琉球新報社への確認の件がある」と主張。「複数の出席者」と報じた情報源の確認が必要との認識を示した。
報道機関に情報源を確認する行為には、6日の市議会全員協議会で「賛同できない」「特別委で決まったというより、安谷屋委員長の意向が強かった話だ」と異論が相次いだ。アンケートに答えた職員からは「早く本筋のアンケートの分析・公開に集中してほしい」との声が出ている。
(南彰、普天間伊織)