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【識者】周知進まない「代理投票」 行政は権利行使の後押しを 田中寛氏(沖縄県手をつなぐ育成会理事長)


【識者】周知進まない「代理投票」 行政は権利行使の後押しを 田中寛氏(沖縄県手をつなぐ育成会理事長) 田中寛氏(沖縄県手をつなぐ育成会理事長)
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 アンケートで代理投票を周知していない行政が多かったのは残念だ。行政は知的障がい者に対して義務付けられている合理的配慮が不足しているとしか思えない。ほとんどの知的障がい者やその保護者が代理投票を知らない。もし制度を知っていれば、投票に行く人は増えるはずだ。

 ただ、代理投票の制度そのものにも問題はある。職員2人が当事者に付き添うが、障がい者の中には、知らない他人が近くに来ると、距離を取ったり、大声を出したり、暴れるなど、コミュニーケーションが得意でない人もいる。こうした特性を持つ知的障がい者は、この制度を利用できない。

 当事者が普段から付き合いがあり慣れている保護者や福祉関係者なども、投票記載台まで付き添えるようにする必要があるが、現状ではできない。知的障がい者にも参政権はある。彼らには意思があり、候補者を選べる。その権利を行使できるよう、行政は積極的に取り組んでほしい。 (談)