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職員が代筆する「代理投票」、積極周知は3割のみ 「手が回らない」「問い合わせあれば対応」 沖縄


職員が代筆する「代理投票」、積極周知は3割のみ 「手が回らない」「問い合わせあれば対応」 沖縄 イメージ写真
この記事を書いた人 Avatar photo 狩俣 悠喜

 16日に38市町村で投開票が実施される県議選に向け、けがや病気、障がいを理由に投票できない人に代わって投票所の職員が代筆する「代理投票」を積極的に周知している市町村が、全体の約3割の11市町村にとどまることが分かった。 

 代理投票は、公職選挙法第48条に基づく制度。総務省は知的障がい者のための代理投票について積極的な周知を呼びかけているが、市町村の選挙管理委員会から「人員的に余裕がなかった」「実務の現場で困っていない」などの声が上がるなど、周知が徹底されていない実態が明らかになった。

 本紙が12~13日にかけ、電話で聞き取り調査した。ホームページ(HP)や広報誌での案内など、不特定多数の人の目に触れる情報発信を「積極的な周知」とみなした。

 本紙の取材に対し、代理投票の制度を周知していない理由について、「(既に)代理投票の利用があるので、周知が進んでいるものと考えている」(嘉手納町)、「個別の問い合わせがあればその都度対応している」(中城村)などの事例があった。

 一方、「一人で選挙事務をやっており、余裕がなかった」(東村)、「手が回らなかった」(南風原町)など人員不足などで周知できていない事例もあった。「住民に身体障がい者や知的障がい者など対象者がいない」(渡嘉敷村)との回答もあった。

 投票時に支援を必要とする有権者が支援の内容を記載する「投票支援カード」か、投票に関する質問やその回答例をイラストで示した「コミュニケーションボード」のいずれかを用意している市町村は約5割の18市町村だった。


 代理投票制度 公職選挙法第48条に基づく制度。選挙人が、けがや病気、障がいで自ら候補者の氏名を投票用紙に書けない場合、投票所の職員が代わりに書ける。選挙人が投票管理者に代理投票の意思を伝えると、補助者2人(代わりに記入する人、選挙人の意思通り記入したか確認する人)が付き添い、投票する。

(狩俣悠喜)