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1票獲得へ!色とりどり 沖縄の選挙ポスター 「勝利の戦略」色彩心理学の専門家に聞いてみた


1票獲得へ!色とりどり 沖縄の選挙ポスター 「勝利の戦略」色彩心理学の専門家に聞いてみた 16日に投開票日がせまった県議選の選挙ポスター(写真は那覇市・南部離島選挙区、画像の一部を加工しています)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 16日投開票の県議会議員選挙は、最終盤の3日間に突入している。沖縄の選挙は立候補者の名前の一部をカタカナ表記にすることで知られるが、今回も立候補者の個性あふれるポスターが各選挙区で公開されている。第一印象を決めるといわれる選挙ポスターは、色使いやデザインに候補者たちの勝利戦略がありそうだ。色彩心理学の専門家に聞いてみた。

◇いかに「目立つ」か

 話を聞いたのは色彩心理学を活用してセミナー講師を務める「あしたのたのしみ」代表の我那覇奈緒さん(34)=浦添市。かつて沖縄の選挙ポスターは、背景は青、丸ゴシックでカタカナの名前は赤い文字が恒例だった。これについて我那覇さんは「選挙は投票してもらうことがゴール。遠くから見て認知できるか、いかに目立つか、印象付けるかが大事なのでしょう」と推測する。

あしたのたのしみ代表取締役の我那覇奈緒さん

 赤は勝負色で、遠くから見ても一番目立つ強い色でもある。米大統領選ではネクタイが赤か青かで勝敗が変わると言われているそうだ。

 知ってか知らずか、本県議選の立候補者75人中50人が名前の文字を赤にしたり背景を赤にして文字を反転させたりしていた。行動力を表す色はほかにオレンジがあり、人に寄り添い、人のためにやるイメージが選挙向きだという。

 また、女性の立候補者は、ピンクを文字や背景、服などどこかに使う傾向も。ピンクは母性や優しさ、家族思いなどのイメージがあるとされ、一部男性の候補にも使う人がいた。

 そのほか、黄色は新たに挑戦する、緑は若々しさ、青には信頼、白は清潔感を表すことなどが紹介された。

◇5割が「カタカナ」

 沖縄では、選挙ポスターにカタカナを使用する立候補者が多い特徴がある。1972年の日本復帰前、読み書きが苦手な高齢者らが文字を書きやすいようにと、画数が少なく直線的なカタカナが好まれたことがきっかけとみられ、現在まで続く独特の選挙文化になっている。

 県議選の立候補者75人の選挙ポスターをみると、57・3%に相当する43人が姓名のどちらか、あるいは両方にカタカナを取り入れていた。

 いまだに根強く残る「選挙戦術」だが、近年はひらがな表記も目立つようになっている。今回の県議選でひらがなを使用したのは30人(40%)。我那覇さんによると、ひらがなはやさしいイメージをもたらし、カタカナは実行力のある印象を強く与える効果があるという。

 個性あふれる選挙ポスターを目にした我那覇さんは「視覚から入る情報が全体の7割を占めると言われる。入口としては良いのではないか」と話した。最後に大事なことも付け加えた。「見た目の情報とその人が話していることが一致しているかどうか。判断材料の一つにしてほしい」

(當山幸都、慶田城七瀬)