芥川賞　朝比奈、松永さん　直木賞は一穂さん

　第１７１回芥川賞、直木賞（日本文学振興会主催）の選考会が１７日、東京・築地の料亭で開かれ、芥川賞は、医師でもある朝比奈秋さん（４３）の「サンショウウオの四十九日」（「新潮」５月号）と、松永Ｋ三蔵さん（４４）の「バリ山行」（「群像」３月号）に、直木賞は一穂ミチさん（４６）の「ツミデミック」（光文社）に決まった。　（２０面に関連）
　朝比奈さんは１９８１年京都府生まれ。受賞作は、結合双生児として生まれ、体を共有する姉妹の日常から人間とは何かを問う。松永さんは８０年水戸市生まれ。受賞作は、行く末に不安を覚える会社員が山登りを通じて自身を見つめ直す物語。記者会見で朝比奈さんは「今はただ一生懸命書くだけ」、松永さんは「純文学になじみのない方でも読みやすいものを目指した」と述べた。
　一穂さんは７８年生まれ、大阪市出身。受賞作は、コロナ禍で人生が一変した人たちの欲望や後ろめたさを描いた。一穂さんは「母の冥土の土産に間に合った」と笑顔を見せた。