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琉球人遺骨の返還を巡り、京大に要請書 訴訟原告ら対話と和解求める 沖縄


琉球人遺骨の返還を巡り、京大に要請書 訴訟原告ら対話と和解求める 沖縄
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 昭和初期に旧京都帝国大(京都大)の研究者により今帰仁村の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」から研究目的で持ち去られた遺骨の返還をめぐり、返還請求訴訟の松島泰勝原告団長=龍谷大教授=らは26日、京大の湊長博総長宛てに対話と返還を求める要請書を出した。

 訴訟は大阪高裁で、原告側の控訴を棄却する判決が昨年10月に確定している。ただ、判決の付言(ふげん)では「持ち出された先住民の遺骨は、ふるさとに帰すべきだ」と指摘し、関係者による話し合いを促していた。

 要請書では、高裁判決の付言を踏まえ、(1)遺骨返還問題の解決に向けた原告や弁護団、支援者との話し合いの場の設置(2)京大の遺骨の倫理的取り扱いについての倫理指針の提示(3)遺骨の返還と謝罪―の3点について9月2日までの回答を京大に求めている。出席者によると、申し入れには原告側から約25人が参加し、京大のコンプライアンス担当の幹部職員に要請書を手渡した。

 松島団長は報告集会で、過去の対話呼びかけは京大側に無視されたことを振り返りながら、「今回は要請書を受け取ってくれた。対話をし、みんなと一緒に和解の道に入りたい」と語った。

 オンラインで参加した原告の亀谷正子さんは「まもなく80歳になるが、命果てる前に先祖の遺骨がふるさとへと切に願っている」と涙ながらに訴えた。 (南彰)