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沖縄の厨子甕と骨つぼ15点を返還へ 大阪の国立民族学博物館、情報提供求める


沖縄の厨子甕と骨つぼ15点を返還へ 大阪の国立民族学博物館、情報提供求める 民博が保管している琉球厨子甕のひとつ。「父大城三良」などの文字がみえる(松島泰勝教授提供)
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 大阪府にある国立民族学博物館(民博)は、同館が所蔵している沖縄の厨子甕(ずしがめ)と骨つぼ15点について、ホームページ(HP)で写真付きで紹介し、返還に向けて情報提供を求めていることが分かった。祭祀継承者が確認され、返還申請があれば、制定したガイドラインに基づいて手続きを進めるとしている。

 昭和初期に持ち去った琉球人遺骨を保管し返還を拒否している京都大学とは対照的な対応となる。

 厨子甕や骨つぼを本来の所有者に返還するよう求めていた「ニライ・カナイぬ会」共同代表で龍谷大の松島泰勝教授は「同意を得ずに取得した遺骨や文化財を返還するのは世界的な潮流となっている。心当たりの人は民博に連絡し、本来あるべき場所である墓に戻してほしい」と話している。

 民博が所蔵しているのは厨子甕9点と骨つぼ6点。1977年度に寄贈された厨子甕1点以外は、すべて1975年度に民博が購入した。

 厨子甕には「父大城三良 母大城カメ」と書かれたものや、ふたに「道光二十四年甲辰八月二十六日洗骨 知花当山築親雲上 妻 童名満加」と書かれたものなどがある。民博によると、これまでの調査で厨子甕1点について祭祀継承者と考えられる人を特定したという。

 民博が購入してから50年近くも経過してからの情報提供の呼びかけとなる。民博は、琉球人遺骨の返還を求める団体「ニライ・カナイぬ会」から昨年8月に、厨子甕、骨つぼの返還を求める要請を文書で受けた。検討した結果、厨子甕などの祭祀継承者を探すことを決め、返還のガイドラインを作成した。

 問い合わせ先は国立民族学博物館企画課標本資料係(電話)06(6878)8392。メールはhyohons@minpaku.ac.jp 

(宜保靖)