台湾の琉球人骨返還、実現へ 沖縄県教委など作業に着手、今帰仁村が受け入れへ


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
人類学者らによって遺骨が持ち出された百按司墓=2016年11月、沖縄県今帰仁村

 昭和初期に旧帝国大学の人類学者らが沖縄県今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから琉球人の遺骨を持ち出した問題で、台湾大学に保管されている遺骨が沖縄側に返還される見通しとなった。今帰仁村教育委員会と沖縄県教育委員会が31日、返還に向けた作業に着手したことを明らかにした。返還時期は未定。台湾大は保管する63体の琉球人遺骨を返還する意向を示していた。今帰仁村と県側が受け入れる方針を示したことで、返還が具体化する。

 10月上旬までに台湾大側から打診を受けた今帰仁村教委は受け入れの検討を始めた。村教委と県教委は11月上旬にも、遺骨を受け入れる意向を文書で台湾大に伝える方針。返還後は県内の施設で遺骨を保管する方向で検討している。

 村教委の担当者は「県と相談して保管先を調整している。いつ返還されるかは分からない。(返還するという)互いの意向を確認し合っている段階だ」と話した。県教育庁文化財課は「温湿度の管理など、しっかりと保管できる場所を探している。村の意向を尊重して対応する」としている。

 ただ遺骨の返還を求めてきた市民団体や研究者らは遺骨を研究のための資料として扱うことをやめ、再埋葬するよう要求している。

 今帰仁村教委は同様に遺骨を保管している京都大学にも連絡を取る方針。京都大は遺骨返還の是非について明らかにしていない。

英文へ→Nakijin Village to receive Ryukyuan remains from Taiwan University