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米軍ヘリ、沖国大に墜落 本館に衝突、炎上 CH53D機の乗員3人重軽傷 沖縄・宜野湾市


米軍ヘリ、沖国大に墜落 本館に衝突、炎上 CH53D機の乗員3人重軽傷 沖縄・宜野湾市 沖国大構内に墜落し、激しく炎上する米軍ヘリ。米兵が慌てた様子で現場に向かった=2004年8月13日午後2時15分ごろ、宜野湾市宜野湾
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 十三日午後二時十五分ごろ、宜野湾市宜野湾二丁目にある沖縄国際大学一号館(本館)の建物に普天間飛行場を飛び立ち訓練中だった米海兵隊のCH53D大型輸送ヘリコプター一機がバランスを失って衝突し、大学駐車場に墜落、炎上した。乗員の男性海兵隊員三人のうち、一人が重傷、二人は軽傷。民間人にけが人はいない。住宅地域での米軍機の墜落事故は復帰後初めて。事故原因について米軍は「機械的な不具合」と発表。牧野浩隆副知事は事故の重大性を踏まえ、普天間飛行場の名護市辺野古沖移設作業そのものを見直すことも含め、同飛行場の早期返還の在り方を再検討する考えを表明。安全性が確認されるまで、米軍や日本政府に対し、同基地での航空機の全面飛行停止を求めた。米軍は当面、ヘリの飛行を停止する方針を示している。ボリビア出張中の稲嶺恵一知事は移設作業の再検討を否定した。知事は日程を切り上げて帰国する。

 ヘリは墜落後に爆発し激しく炎上。宜野湾市消防本部や米軍の消防隊が消火に当たり、午後二時四十分に鎮火。一号館には当時職員二十五人がいたほか、構内全体に数百人がいたが無事だった。乗員三人は北谷町の米海軍病院に搬送された。

 目撃者の話をまとめると、ヘリは大学南側の民間地上空を飛んでいる際に、機体から後部ローターやプロペラなどの部品がはじけ飛び、バランスを崩した後、大学一号館の建物に接触、墜落した。墜落直前は、胴体自体が回転し、操縦不能状態で飛行を続けていたという。

 墜落したCH53米軍ヘリと同型機

 墜落した機体はプロペラが根元から折れ、原形をとどめていない。

 ヘリが接触した一号館の屋上の縁は、削り取られたような接触痕が残り、同館の壁面は機体の炎上で焼けこげた。

 墜落現場周辺の民間地には広範囲にわたってヘリの部品が飛散。現場から約三百四十メートル離れた我如古公民館近くでは、尾翼のローターとみられる部品が発見されている。

 墜落後、米軍が現場を封鎖し、県警は現場に入れていない。県警は十四日、米軍に同意を求め、同日中にも合同で現場検証を実施したい考え。

 在沖米軍トップのロバート・ブラックマン四軍調整官(海兵隊中将)は十三日午後九時、県庁を訪れ、牧野副知事に謝罪した。

 米軍によると、事故機はハワイのカネオヘベイ基地の第二六五海兵中型ヘリ中隊所属。在沖の第三一海兵遠征部隊に配属され、半年間ごとの部隊展開計画(UDP)のローテーションで山口県の岩国基地や普天間飛行場を回っていた。

 沖国大は、十四日の集中講義を予定通り実施する方針。

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<ニュース用語>普天間飛行場
 現在、米海兵隊第一海兵航空団第三六海兵航空群に所属するヘリ56機が配備されている。事故を起こしたCH53大型ヘリは15機、このほかCH46E中型ヘリ24機、AH1W軽攻撃ヘリ10機、UH1N指揮連絡ヘリ7機となっている。墜落したCH53ヘリはエンジン2機のD型で、1969年から72年にかけて製造された旧型の老朽機。現在はその後に製造されたエンジン3基のE型が大半を占めているが、D型は少数残されているという。