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【動画】ある日突然「遺族」に…息子の悲劇もう二度と 部活生の自死、初弁論で両親が語った心境 沖縄


【動画】ある日突然「遺族」に…息子の悲劇もう二度と 部活生の自死、初弁論で両親が語った心境 沖縄 第1回口頭弁論を終え、報道陣の取材に応じる亡くなった男子生徒の遺族=7日、那覇市樋川
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2021年1月、部活動の顧問だった元教諭からの叱責や暴言を受けて命を絶った県立コザ高校2年の男子生徒=当時(17)=の遺族が提起した訴訟の第1回口頭弁論。訴訟提起から約1年6カ月を経て開かれた弁論に臨んだ生徒の両親が取材に応じ、「これからがスタート」と心境を明かした。「私たちの思いがしっかり届くような裁判になってほしい」。意見陳述のために証言台に立った40代の母親はかみしめるように語った。

 「大人も子どもも和ませる明るく楽しい」。そんなわが子を失ってから3年半以上の月日が過ぎたが、悲しみは癒えない。突然、「遺族」という立場に立たされたことに苦しみ「毎日息子のことを思い、忘れたことは1日もない」。

 小学校1年から空手を始め、小3から高2まで毎年、県外大会に出場するほどに競技に打ち込んだ。異変が起きたのは、主将になった高2の時。いつも元気で明るかった表情から日に日に笑顔が消えた。「これは本当にまずいんじゃないか」。不安は最悪の形で現実になった。
 「つらさと悲しみ」にうちひしがれる中で目にした遺品のスマートフォンの「LINE(ライン)」記録に、元顧問から受けた叱責や暴言の数々が残されていた。

 「キモイ」「ウザい」「キャプテン辞めれ」―。「人格否定。何でこんな言葉を使えるのか」。生涯をかけて打ち込んだ空手での出会いがわが子を「苦しめた」と後悔した。「させなければよかったのか」。そんな思いも頭をよぎったが、空手を通してつながった息子の友人や父兄らのサポートが心の支えにもなった。裁判に踏み切った現在は「なぜこんなことになったのか。(元顧問)本人の口から聞きたい」と考えている。

 意見陳述では「子どもたちの大切な命や将来が誰にも奪われることなく、もうこれ以上学校や部活で苦しまないでほしい」とも訴えた。
 「何がいけなかったのか。これからどうするべきなのかということをしっかりと考えてほしい」。二度と同じ悲劇が起きないでほしい。裁判を通して社会にそんなメッセージも訴えかけていくつもりだ。