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「生徒ファーストの学校に」コザ高校長 部活生自死を受け改革へ 沖縄【取り組み一覧】


「生徒ファーストの学校に」コザ高校長 部活生自死を受け改革へ 沖縄【取り組み一覧】
この記事を書いた人 Avatar photo 高橋 夏帆

 コザ高校の大嶺哲司校長は3月まで部活動改革などを担う県教育委員会保健体育課の班長だった。生徒の自死を巡り、第三者再調査委員会が同校へ提言を出した直後の4月、校長に着任した。「部活動は生徒の人格人権を尊重し、生徒の意思や成長を最優先に考えないといけない。生徒ファーストで学校づくりをする」と決意を語った。

 自死事件があった2021年1月は別の高校の教頭だった。22年4月から2年間、県教委で部活動の相談窓口を担当し、学校に対して問題の解決策を指導する立場となった。「自分の子どもが同じような状況になったらどう感じるか。教職員は自分事として考えて指導しないといけない」との考えを強くした。

 コザ高に着任した4月中旬に教頭2人と遺族宅に訪問し、今後の取り組みを説明した。

 同24日、教員ら約80人に調査報告書を渡し、グループでの読み合わせと意見交換に取り組んだ。「部活動が顧問や学校の名誉のためになり、生徒の成長を中心に置いてなかったのでは」「部活動が生徒主体の取り組みになるよう生徒と顧問の意識のすり合わせが必要」との意見が出た。

 再調査委からの提言の一つ「生徒の悩み事に対する相談体制の構築」には、生徒の本音をすくい上げるため、生徒が話しやすい教員に相談できる仕組みづくりを検討している。部活動に特化したアンケートは年3回、各学期末に実施する。生徒が答えやすいようスマホで実施し、SOSを見逃さない体制をつくる。

 「実績のある指導者ほど、今までの指導方針が絶対だと考えてしまう傾向もある。だが時代に合わせて更新していくことが必要だ。生徒の人格、人権を考えて行動していくことが、ひいては生徒の成長にもつながる」と述べた。

(高橋夏帆)