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【記者解説】全ての大人への提言 部活生自死報告書


社会
【記者解説】全ての大人への提言 部活生自死報告書 高校生(イメージ)
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉数 陽

 コザ高校自死再調査報告書がまとまった。重要なのは丁寧に積み重ねられた事実から見えた課題にどう向き合い、変えていくかだ。

 男子生徒は進学に空手を特技としてアピールしようと考えていたとみられ、空手を辞める選択肢を持たない中で、顧問に反論できない関係にあった。顧問は部員に、トレーニングの動画や2時間以上の自習ノートの写真を毎日通信アプリLINE(ライン)で送るよう求めた。

 顧問から男子生徒へのメッセージは朝から深夜の時間帯に送信されているものもあり「支配的主従関係」が形成されていった。県教委は教職員がSNSなどを通じて私的な連絡をすることを禁じているが、コザ高に限らず各学校で徹底されているだろうか。

 委員は提言で「文武両道という校風の再検討」をコザ高に求めた。場合によっては勝利至上主義など「不適切な指導等の問題の遠因となるおそれが全くないとは言えない」と指摘した。

 文武両道を肯定的にのみとらえているのはコザ高だけに限らないだろう。報告書の提言は当時の関係者だけでなく全教職員、子どもに関わる全ての大人たちへ向けられている。

 私たちが自分事として現状を変えていくことが求められている。 (嘉数陽)