調査報告書では、顧問の叱責(しっせき)が原因で自死に至ったと結論づけている。
報告書には「ゼロ・トレランス」と「子どもの権利条約」いう言葉が多く見受けられる。ゼロ・トレランスは「寛容度ゼロ」と訳される米国発の指導方法で、あらかじめ規則に違反した場合のペナルティーを定めて厳格に運用し、学校の規律維持を図る考え方だ。
ゼロ・トレランスと深く関わる「イエローカード制」の廃止を求めたことは画期的である。「子どもの権利条約」は、2022年秋に改訂された生徒指導提要でも初めて言及されている。
異例の再調査に至ったのは、当初の詳細調査が不十分だったためだ。そのために遺族は長い間にわたり結果を待ち続けることとなった。
二次加害ともいえる負担を遺族に強いたことを、県は猛省するべきだ。
背景調査の目的の一つは再発防止だ。報告書の提言をもとに、実効性ある再発防止策を立て、それを実施するための予算を含めた支援を、県が主体となって推進することが求められる。