どうにか守れなかったのか―。
コザ高2年(当時)の運動部男子生徒が自ら命を絶った問題を受け、2年3カ月の期間、真相を究明した第三者再調査委員会。22日夕方に県庁で開かれた会見に出席した委員からは大人として問題を防げなかった無念さがにじみ出ていた。
県庁5階の会見室。予定時間の10分前に紺色のスーツを着た古堅豊委員長が、上間陽子副委員長、安里学委員、宮里新之介委員と共に会場に姿を見せた。およそ10分間報告書の概要を説明すると記者からの質疑を受け付け、身ぶり手ぶりを交え、時折目を見開いて子どもの人権が尊重される学校や社会の在り方を確立させる必要性を訴えた。会見は予定の30分を大幅に超えて約80分続き、報道陣の関心の高さをうかがわせた。報告書では、提言に加え「むすびにかえて」とするメッセージを盛り込んでいたことについても、記者からの質問が相次いだ。
再調査委での37回に渡る議論は男子生徒が17年間生きた軌跡をたどる取り組みだった。古堅委員長はヒアリングで分かった謙虚で優しい人柄に触れながら「LINEのやりとりを見ると(自死する前日の)1月28日で止まっている」と指摘。「何度も何度も…」と言葉が続かず感情を押し殺すように顔を下に向け「悲しい」と声を振り絞った。
安里委員は「彼を守れなかった大人の責任は重い」と声に力がこもる。「部活動の生徒やクラスメート、競技を通じて知り合った仲間たちの喪失感。二度とあってはならない」。時折視線を落とし、自身に言い聞かすように静かに語った。 (小波津智也)