顧問と「支配的主従関係」 再調査委員会が部活生自死で報告 不寛容な指導を指摘 沖縄


顧問と「支配的主従関係」 再調査委員会が部活生自死で報告 不寛容な指導を指摘 沖縄
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 部活動の顧問から執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受け、2021年1月にコザ高校2年(当時)の運動部男子生徒が自ら命を絶った問題で、県が設置する第三者再調査委員会(委員長・古堅豊弁護士)が22日、2年3カ月におよんだ調査の結果をまとめた報告書(概要版)を公表した。報告書は、男子生徒と顧問の関係を、指導者と指導を受ける者との一般的な主従関係を超えた「支配的主従関係」にあったと指摘。再発防止に向けて、生徒の人権尊重が最重要とする学校体制の確立を求めた。

 報告書では「支配的主従関係」の背景として、「文武両道」の校風が不適切指導の遠因となる可能性を指摘。「不寛容」な指導によって生徒が声を上げづらい状況があったことなどを挙げた。

 男子生徒の自死を巡っては、21年に県教委による第三者調査チームが調査した。ただ、調査時間の短さや調査対象者の選定などの観点から調査が不十分だとして遺族らが独立した第三者機関による再調査を求めた経緯がある。

 再調査委の古堅委員長らは22日、県庁を訪れ玉城デニー知事に報告書を提出した。報告書を受け取った玉城知事は「再発防止に向けての提言事項を重く受け止め、責任を持って県の取り組みを進める」と述べた。再調査委はその後、記者会見を開いた。

 報告書では、理不尽な指導の中で生徒が追い詰められた背景や経緯を詳しく記した。提言では「子どもの権利条約」を踏まえて、コザ高や県教育委員会、県に示した。

 遺族は「二度と同じような事件を繰り返さないよう事実を受け止めてほしい」とコメントを公表した。半嶺満県教育長は「報告書を確認し対応を検討する」とコメントした。

 (高橋夏帆)