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「寛容度ゼロ」の校則イエローカード制、問題点多く 沖縄県教委も対応検討


「寛容度ゼロ」の校則イエローカード制、問題点多く 沖縄県教委も対応検討 教室の机並ぶ(イメージ)
この記事を書いた人 Avatar photo 外間 愛也

 コザ高校空手部男子生徒が自ら命を絶った問題に関連し、半嶺満県教育長が「廃止を含めて検討する」と明らかにした「イエローカード制度」は「ゼロ・トレランス(寛容度ゼロ)」といわれる指導方法の一つだ。生徒の個別事情を勘案せず、違反回数のみを判断基準として処分が下される点などが問題とされている。生徒自ら命を絶つような悲劇を二度と生まないため、県教育委員会は同制度の廃止も含めた対策を検討する構えだ。

 イエローカード制度は校則違反を防ぐ目的で一部の高校で導入している。コザ高校は2021年度中に同制度を廃止したが、以前は違反1回目は「注意」、2回目は「反省文」、3回目は「日記指導(5日間)と保護者呼び出し・教頭面談」、4回目は「訓告」、5回目は「停学」、6回目以降は「懲戒規定に準ずる」と定めていた。

 ゼロ・トレランス指導について、有識者らがまとめた調査報告書は「生徒たちに学校教師に対して発言することや、異議申し立てを諦めさせる形で機能することが特徴である」と指摘している。

 また、生徒が教師に意見を伝えにくい環境が醸成されていたことが、自死を誘発した可能性について言及。「生徒の個別性を十分に配慮しないゼロ・トレランス的指導理念は教師と生徒の関係を根本において規定し、そのことが生徒の自死へと至る心理的変化や身体的・行動的兆候を学校が発見できなかったことの遠因となった可能性がある」とまとめている。

 提言ではコザ高に対しては「イエローカード制度の廃止を前提とした改善」、県教育委員会に対しては「ゼロ・トレランス的指導が維持されている県立学校に見直しを促すこと」を求めている。

(外間愛也)