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部活顧問「自分に原因ない」 高校生自死 沖縄県が報告書全容公開


部活顧問「自分に原因ない」 高校生自死 沖縄県が報告書全容公開 体育館(イメージ)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2021年1月にコザ高校2年(当時)の空手部男子生徒が、部活動の顧問から執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受け、自ら命を絶った問題で沖縄県は8日、第三者再調査委員会の調査報告書の全容を公表した。生徒の自死について、顧問は自身が原因ではないと否定し「最終的な生徒の『監護義務者は母親である』」と述べ、責任を転嫁するような主張をしていることが分かった。一方、報告書で調査委は「管理者から適切な調査・指導がなされ、顧問が生徒への指導方法を改めていれば、自死を防げた可能性も否定できない」と指摘した。

 報告書によると、自死の原因について顧問は「自分の言動が強い精神的負担を与えていたとしても、自死の原因は自分にはない」と反論した。「生徒の健全な身体的精神的な成長を図るために行動をすべきだったのは母親」「自分の言動に問題があったのであれば、母親が顧問に抗議するなどして対応するべきだった」とも説明している。

 精神的に追い込むような発言として、顧問が生徒に対し「(特定の場所)から飛べ」との発言があったという遺族の証言も示されている。場所は黒塗りで非公開だった。「生徒が同様の発言をしているのを聞いた」という空手部員もいたが、曖昧な部分があったことなどから報告書では「明確に認定できる証言はなかった」とした。

 2年生の2学期を振り返るアンケートで、生徒が部活動について「つらいこと、苦しいこと、やめようと思ったことが何度もあった」と書いていたが、担任や副担任が具体的な聞き取りをしていなかったと指摘。「何らかの思いをくみ取れた絶好のチャンスであり、顧問と生徒との関係を把握できた可能性は高い」としている。

 自宅や衣服などに残っていたメモの内容から「生徒が自死を選択したことを推認させるものであり、遺書と評価しうるものである」と指摘した。メモの内容は黒塗りで非公開となっている。

 半嶺満県教育長は「このような痛ましい事案が繰り返されないよう、学校、家庭、地域社会、関係機関と連携し、再発防止に向け取り組んでいく」とのコメントを発表した。

(外間愛也、高橋夏帆)