有料

響く鐘、戦地に思い 長崎 原爆さく裂時刻に黙とう


響く鐘、戦地に思い 長崎 原爆さく裂時刻に黙とう 被爆から79年の原爆の日を迎えた、長崎市の平和公園=9日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 蒸し暑さに包まれた長崎市では9日、被爆者や市民らが早朝から各地で犠牲者を悼んだ。ウクライナやパレスチナ自治区ガザなど戦地に思いをはせる人も。原爆さく裂時刻には同市松山町の平和公園の鐘が鳴り響き、国内外から訪れた人々が黙とうをささげた。 (1面に関連)
 爆心地近くの浦上天主堂には約200人が鎮魂のミサに集った。参列した長崎市の山田笑子さん(83)は、4歳の時に爆心地から約2・7キロで目のくらむような原爆の閃光(せんこう)を浴びた。「平和な世界が続いてほしいけれど、難しいね」と悲しげな表情を浮かべた。
 赤や黄色の千羽鶴が数多く置かれた爆心地公園の一角で、手を合わせた被爆者の有田浩雄さん(83)=同市=は、ガザで戦闘を続けるイスラエルが平和祈念式典に招かれなかったことについて「原爆は国籍の区別なく命を奪う。本来なら全ての国から招くべきだった」と残念がった。
 昨年は台風接近で屋内開催を余儀なくされた。2年ぶりに平和公園で開催された同式典は、国内外からの参列者であふれた。NPO法人が主催した交流プロジェクトの一環で出席したパレスチナの女性(32)は終了後、「私たちは長崎の人と同じ痛みを経験している」と語った。イスラエルの女性(27)は「平和への祈りを感じた」と感慨深げだった。