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「印象薄い」「子どもの現状変わらない」 岸田政権の評価 沖縄からの視点


「印象薄い」「子どもの現状変わらない」 岸田政権の評価 沖縄からの視点 全戦没者追悼式で献花に向かう岸田文雄首相=2024年6月23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 岸田首相が自民党総裁選への不出馬を表明した。沖縄をテーマにした作品を生み出す作家のオーガニックゆうきさん、自衛隊訓練場設置計画の断念を求める会共同代表の久高政治さん、子どもたちの進学を支援するNPO法人にじのはしファンド代表理事の糸数未希さんの3人に岸田政権の評価や次期首相に求めることなどを聞いた。

 (吉田健一、玉城文)


沖縄と向き合わなかった 作家・オーガニックゆうき氏

 岸田首相の印象は薄く、誰が次の首相になるかも現時点で興味を持てない。むしろ、県議選を理由に少女誘拐暴行事件を隠ぺいしたのではないかと見てしまう。2019年の県民投票の結果を無視した菅政権の跡を継いだ岸田政権に対して最初のころは、私も周りも少なからず、沖縄の民意をくみ取るとの期待感があったが、結局、沖縄と面と向き合った首相ではなかった。

 外交面で評価できる部分もあるが、自民党の裏金問題については首相としてリーダーシップを発揮できなかったと思う。何を成し遂げたかったのか。最後まで見えづらく、印象に残らない首相だった。


久高政治さん

苦難の歴史に関心寄せて 自衛隊訓練場断念求める会・久高政治さん

 岸田首相の在任中に進められた、うるま市石川での陸自訓練場計画は、保革を超えた「生活を守る」という住民運動で撤回させた。石川はかつて宮森小に米軍ジェット機が墜落した。今も遺族や当事者、多くの人が住む地で、加えて自然豊かな地に軍事施設を造ろうとする、国の計画のずさんさもあった。だが、安保3文書の閣議決定で日本は今後、米国の極東戦略の中に具体的に組み込まれていくと捉えている。

 次の首相には、沖縄戦や戦後の苦難など、沖縄の歴史に目を向け、関心を寄せてほしい。昔の政治家には沖縄に対して贖罪(しょくざい)の意識があったが、今の政治家には感じられない。


糸数未希さん

子どもの現状変わらず にじのはしファンド代表・糸数未希さん

 岸田内閣は「異次元の少子化対策」を打ち出したが、沖縄の子どもの現状は変わっていない。子ども食堂を利用する家庭の経済状況は厳しいままだ。児童館の数も足りない。子ども食堂など子どもの居場所づくりについて、国は民間任せにせずに制度として組み込み、しかるべき予算を投入すべきだ。

 次の政権には岸田政権やこども家庭庁が掲げる「こどもまんなか社会」の実現に向けた政策を拡充してほしい。例えば、給付型奨学金の拡充や給食費の無償化などで、子どもに関する費用は無償にすべきだ。収入など家庭環境に関係なくすべての子どもが恩恵を受けられる制度をつくってほしい。