豆台風にも警戒を<気象予報士・島尻勝の天気をヨム>


豆台風にも警戒を<気象予報士・島尻勝の天気をヨム>
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 今回は台風の話題をひとつ。県内に接近した過去最大の台風は1966年に宮古島を襲った第二宮古島台風である。85・3メートルの最大瞬間風速を記録。38時間も暴風となり大きな被害をもたらした。わが家も倒壊した。

 今回注目したいのが1930年に宮古島を襲った台風5号である。地元では豆台風と呼ばれた。この台風の暴風時間は数時間もない。第二宮古島台風では犠牲者はなかったが、豆台風では犠牲者が35人いて負傷者も多かった。この台風の最大の特徴が、暴風半径が小さいことである。当時の観測や予報技術では、豆台風を予測することができず、宮古島は不意をつかれた状況となった。備えの大事さを改めて認識する。

 現代は、観測技術、予報技術も発達しているので、不意打ちの台風はない。ただ、こんな豆台風の直撃はあり得る。かなり接近して急激に風が強まるのである。

 豆台風という言葉は安心につながるため、いまは使われていないが、最大風速が強く暴風半径の小さい台風接近の際は油断せず備えを怠らないでいただきたい。

 (次回は9月1日に掲載)

 気象予報士・防災士の島尻勝さんが沖縄の気象や防災・減災にまつわる話題をつづります。

 島尻 勝(しまじり・まさる) 1954年生まれ。宮古島市出身。沖縄気象台などで40年勤務。気象防災アドバイザー取得。県内ラジオ局で天気にまつわる番組を担当。