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「寺子屋のにーにー」世界2位の英名門大に入学 帰省のボランティアを今後も 今帰仁出身・小川さん


「寺子屋のにーにー」世界2位の英名門大に入学 帰省のボランティアを今後も 今帰仁出身・小川さん インペリアル・カレッジ・ロンドンに入学が決まった今帰仁村出身の小川賢さん=5日、那覇市泉崎の琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 沖縄アミークスインターナショナルを卒業しアイルランドの高校へ進学した今帰仁村出身の小川賢さん(19)が、世界有数の理工系名門大学インペリアル・カレッジ・ロンドン(英国、ICL)に入学する。小川さんは夏休みに帰省した際、学習支援や屋外活動体験で子どもの居場所を提供する、同村の「スーパー寺子屋」でボランティアをする「寺子屋のにーにー(お兄ちゃん)」でもある。9月末の入学を前に「将来は沖縄や日本と世界の研究者の架け橋になりたい」と抱負を語った。

 ICLは英国の大学評価機関による大学ランキング2025で米マサチューセッツ工科大に次いで2位。日本人留学生は東京大学や東京医科歯科大学との学術協定で毎年10人程度という。小川さんは、アイルランドの高校卒業試験で9科目中6科目で90~100点を取り、正式に入学が決まった。

 もともと動物や自然、化学が好きだったが、ものをつくる材料を作りたいと考え、進学する大学を探す過程で「材料科学」の研究分野を知った。自然界から着想を得て実用的な人工素材を開発する研究で、昨夏、国立研究開発法人物質材料研究機構(NIMS)=茨城県つくば市=を訪問し関心が高まった。

 高校生活は、バドミントンなどスポーツにも打ち込み、州大会で団体優勝も。学生寮のリーダーも務め、世界各地から生徒が集まる環境で多様な価値観に触れた。異文化の理解に大切なことは「この国から来てるからという偏見を持たずに、まずは話してみること。意外と分かり合えることがあると思う」と話した。

 帰省中のボランティアも、高校時代に力を入れたことの一つ。現場マネジャーを3年続け、子どもたちに勉強を教えたり海やプールで遊んだりしただけでなく、ボランティア管理や弁当の手配なども担当。コミュニケーションの大切さや不測の事態への対処などを学んだ。一緒に過ごした子どもたちに「こういう進路もあるよと伝えたい」と語り、今後も「寺子屋のにーにー」は続けたいと考える。

 大学生活に向けて「まだスタート地点に立ったところなので、今後の研究が楽しみ。広く深く学びたい」と心待ちにしている。

  (慶田城七瀬)