秋を表す沖縄の言葉<気象予報士・島尻勝の天気をヨム>


秋を表す沖縄の言葉<気象予報士・島尻勝の天気をヨム>
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 今回は「秋を表す沖縄の言葉」がテーマです。八重山では、9月の白露から10月の寒露の頃までをスサナツと呼んでいました。スサナツは白夏と書き「衰えた夏または弱まった夏」の意味で、スサナツの頃に吹く風がスサニスカジです。その後、寒露の頃には新北風と書くミーニシが吹きます。 

 私が沖縄気象台に勤務していた頃、ミーニシは問い合わせが多いので、気温や風速でミーニシの基準を作成したことがあります。温度は、過去の文献を基に最高気温25度未満で最低気温20度前後としました。この気温だと涼しさを感じるようになります。

 しばらくはそれで運用していましたが、温暖化で寒露の頃も暑い日が多くなり、当てはまらなくなりました。ところが、文献を読み直すと多くの文献に「サシバはミーニシに乗ってきます」と解説されています。つまり、サシバの見えた日がミーニシの吹いた日です。

 スサナツ、スサニスカジ、ミーニシ、サシバどれも沖縄の秋の始まりを表す言葉です。いつまでも語り継いでいきたいものです。

 気象予報士・防災士の島尻勝さんが沖縄の気象や防災・減災にまつわる話題をつづります。

 島尻 勝(しまじり・まさる) 1954年生まれ。宮古島市出身。沖縄気象台などで40年勤務。気象防災アドバイザー取得。県内ラジオ局で天気にまつわる番組を担当。