2026年秋の完成を目指し、再建工事が進む首里城正殿に17日、玉座に当たる正殿2階の御差床(うさすか)に設置される木彫刻物の「御差床龍柱」と、「内法額木(うちのりがくぎ)」が搬入された。
製作期間はいずれも5月から9月までの約4カ月。今後、国によって塗装が行われ、25年末ごろに完成する予定だ。
御差床龍柱は、埼玉県産のクスノキを使用した高さ97センチ、阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の一対の木彫刻で県立芸術大学が製作を担当した。19年の火災後、復元を検討する中で、古写真が発見されたことによる新たな知見に基づいて、前回復元時とは違い、腹板部分にねじれを表現した。
内法額木は、御差床の周囲に取り付ける装飾板。奈良県産のヒノキを使用した中央と左右の計3本。中央は横4メートル、左右は5・1メートルの計14・2メートルで、高さはすべて36センチ。真ん中に描かれた火炎宝珠(かえんほうじゅ)を取ろうと、脚を伸ばす躍動感のある阿吽の龍の文様が彫刻されている。
復元の検討過程で、火炎宝珠に製作年代ごとの特徴があることが判明したため、火炎宝珠の形態や龍の姿勢などを再考。琉球大学名誉教授の西村貞雄氏が新たな下絵を制作した。
今回、阿形の龍柱を製作した県立芸術大学非常勤講師の儀保克幸さんは、搬入できて安心しているとし、「(龍の)目力や口を開けている雰囲気など、きちんと魔を払う力を出せるように心がけた」と製作過程を振り返った。内法額木の彫刻を担当した西建設(八重瀬町)の彫刻師・下村高男さんは、龍の体の曲がっている部分を表現することが大変だったとし、「首里城は沖縄の方々にとって大事なものだと思う。火炎宝珠は首里城のいろんな所に描かれているため、来場者の方々には、(内法額木の)火炎宝珠をつかもうとしている龍の姿に注目してほしい」と笑顔を見せた。
首里城正殿には、本年度多くの製作物が搬入される。25年1月には正殿の顔となる「唐破風妻飾(からはふつまかざり)」、2月からは屋根に取り付けられる「龍頭棟飾(りゅうとうむなかざり)」や「鬼瓦」の搬入が始まる予定で、国や県は、今しかみることのできない首里城再建工事を「見せる復興」として、来場者へ公開している。
(與那原采恵)