有料

復旧途上 被災地に濁流 仮設も浸水、再び避難 能登豪雨


復旧途上 被災地に濁流 仮設も浸水、再び避難 能登豪雨 石川県輪島市門前町地区の住宅に押し寄せた流木=21日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 元日の地震で被災し、復旧途上にある奥能登地域を濁流が襲った。記録的な豪雨に見舞われた石川県輪島市や珠洲市は21日、河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎ、半島の交通網は寸断された。仮設住宅も浸水し、地震や直後の火災で自宅を失った被災者らは、ようやく入居できた仮住まいからの避難を迫られた。一部地域は再び孤立状態に。住民からは「またか」と落胆する声が漏れた。 (1面に関連)

 珠洲市馬緤(まつなぎ)町地区は能登半島地震に続き、市中心部への道が土砂崩れで通れなくなっているという。「また孤立した」。地震後、自主避難所に身を寄せている南方治さん(73)は嘆いた。輪島市門前町浦上地区では浦上川が決壊し、流木や泥があふれ、電柱が倒れていた。会社員吉村達也さん(60)は自宅が床上浸水し、流木で壁がゆがんだ。「地震よりひどいかもしれない」
 輪島朝市近くの自宅が地震に伴う火災で全焼し、今は仮設住宅で70代の両親と暮らす蕨野敬さんは友人から「避難を」と連絡を受けた。午前10時半ごろに家を飛び出し、高台の中学校へ車を走らせた。くるぶし近くまで浸水している場所があり、一部地域では電波障害も起きていた。「地震の後ということもあり、被害状況がどうなっているのか不安だ」と語った。
 土砂崩れがあった輪島市の道路では土砂をよけて進む車で渋滞も発生。珠洲市の仮設住宅では、膝下まで浸水して立ち尽くす人の姿も見られた。
 地震で公民館に避難している珠洲市の西端悠さん(30)は21日朝、住めなくなった自宅の片付けのために外出したが、道路が冠水し戻れなくなった。道路網は大きな被害を受けており「食料は大丈夫なのか」と途方に暮れた。同市の吉田亮太さん(31)は「地震後無事だった家屋や解体予定だった家もつぶれる所があると思う」と話した。