石破内閣では、女性閣僚は過去最多に並ぶ5人だった前内閣から、2人に減少した。識者は「ジェンダー平等の優先度の低さが透けて見える」と批判。政治分野の男女格差が世界的に見ても極めて大きい中で、首相の姿勢が問われそうだ。
「政策議論には多様性が必要。さまざまな人がいなければ熟議できない」。女性初入閣から64年。女性閣僚2人の実態に、大正大の江藤俊昭教授(政治過程論)は訴える。
そもそも、国会議員に占める女性比率が衆院で10.9%、参院で26.1%と低い。世界経済フォーラムが6月に公表した男女格差報告によると、日本は政治分野で113位と低迷し、格差解消の取り組みは遅れている。江藤教授は「海外と比較しても異常だ」と批判。議席の一定数を割り当てる「クオータ制」や、女性議員数の目標を具体的に定める制度を実践し、地方議会でも裾野を広げる必要があると強調する。
「がっかり」と話すのは、お茶の水女子大申琪栄教授(政治とジェンダー)だ。「政権運営において、ジェンダー平等や女性の政治参画の優先度が高くないことが透けて見える」と指摘。石破茂首相は政治家として長く活動し、安倍晋三元首相が長期政権を敷く以前の、多元性のある時代の自民党を知っているはずだとして「独自色もあり、前に進めてくれる期待感があったのに」と残念がる。
入閣は、政治家としての経歴や当選回数が重視される傾向にあるため、社会の変化への期待感や刷新感が生まれにくいとし、「地域や性別、年齢などをポスト配分の一つの原則として考えるのはどうか」と提案した。
(共同通信)