石破内閣発足を受け、大規模地震と豪雨に見舞われた石川県能登地方の被災者からは1日、災害の影響で加速する人口流出や高齢化の対策を要望する声が相次いだ。地震から9カ月たっても進まない復旧に、政治への不信感を募らせる人も多く「どうせ変わらない」と冷めた声も聞かれた。
能登地方は以前から人口減や高齢化が深刻だったが、被災者の県内外への避難で若者らの流出に拍車がかかることが懸念される。輪島市のバス運転手垣端博さん(69)は「地震後は若者を見なくなった。若者が戻ってこられるような産業を生み出してほしい」と求めた。
被災地では公費解体が進まず倒壊家屋が今も多く残る。進まない復興に、珠洲市の30代男性は「全然期待していない。一番上が誰になっても変わらないだろう」と冷めた様子で話した。
全壊した輪島市の自宅そばにテントを張って生活する石山貞子さん(73)は「必死に生きている。能登を教訓にして、南海トラフなど次の災害に備えてほしい」。同市の仮設住宅に住む男性(77)は、石破茂首相が創設に前向きな防災省について、「つくった方がいいとは思うが、国土交通省など各省庁との横のつながりを重視しないとうまくいかないのでは。大臣が誰になるかも重要だ」と注文を付けた。
石破氏は、衆院選を15日公示、27日投開票の日程で実施する意向だ。輪島市幹部は、投票所の運営が困難な地域もあると指摘。「選挙をやるのはあまりに早すぎる」と困惑していた。
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復旧進まず冷めた声 能登被災者 人口減対策要望
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琉球新報朝刊