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史上初の全員女性 「沖縄文化協会賞」に大里、豊見山、高橋の3氏 沖縄学の若手研究者対象


史上初の全員女性 「沖縄文化協会賞」に大里、豊見山、高橋の3氏 沖縄学の若手研究者対象 イメージ写真
この記事を書いた人 Avatar photo 当銘 千絵

 沖縄文化協会(仲原穣会長)は17日、第46回沖縄文化協会賞3賞の各受賞者を発表した。同賞は優れた研究成果をあげた、おおむね60歳までの沖縄学の若手研究者に贈られる。今回は124人の選考対象から、比嘉春潮賞に法政大沖縄文化研究所准教授の大里知子氏(55)、仲原善忠賞に県立博物館・美術館主任学芸員の豊見山愛氏(56)、金城朝永賞に琉球大准教授の高橋そよ氏(48)が選ばれた。受賞者全員が女性となるのは、同賞史上初めて。

 大里氏が受賞した成果は「近代沖縄史論の研究」。「謝花民権」など沖縄近代史で大きな論争となったテーマについて、論争の詳細な再検討をするだけでなく、論争時の時代背景と歴史認識の在り方を緻密に考察した点などが認められた。 豊見山氏は「沖縄近現代美術史研究」で受賞した。近現代に生きた沖縄の芸術家たちが、近代化と植民地性が混在するコロニアル・モダニティのただ中で、いかに独自のテーマや素材を見いだす創造性にたどり着いたのか「他の追随を許さないほどに、詳細に精力的に描いている」と評された。

 高橋氏は「沖縄のサンゴ礁資源利用に関する生態人類学的研究」。研究者自らが素潜り漁を行う集団に弟子入りして漁労活動の実態や、そこに息づく民俗知識を考察するなど「沖縄における従来のサンゴ礁資源利用に関する文化人類学的・民俗学的研究を著しく進展させた」と評された。

 授賞式と祝賀会は11月30日午後1時から、宜野湾市の沖縄国際大学厚生会館4階ホールで開く。 

左から大里知子氏、豊見山愛氏、高橋そよ氏

(当銘千絵)