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生まれつき腎臓が小さい9歳、ダンスで臓器提供の「意思表示」呼びかけ 自らイベント開催も 沖縄


生まれつき腎臓が小さい9歳、ダンスで臓器提供の「意思表示」呼びかけ 自らイベント開催も 沖縄 臓器移植普及推進月間のオープニングイベントでダンスを披露する伊波桜彪さん(左から2人目)=5日、那覇市のパレットくもじ前交通広場ウフルーフ
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 優希

 うるま市の小学4年の伊波桜彪(さくら)さん(9)は、臓器提供を待つひとりだ。5日に那覇市内で開催された臓器移植普及推進月間の啓発イベントでは、ダンスチーム「沖縄ヤンキース」のメンバーとしてダンスを披露し、臓器提供の意思表示を呼びかけた。

 桜彪さんは生まれつき腎臓が普通より小さい。腎機能を表す数値が20%を下回った昨年、臓器移植希望の登録。ドナーを待つ中で、主治医から、日本は臓器提供の意思表示をしている人が少ないことを聞いた。臓器提供への理解や意思表示などを呼びかけようと、4歳から習っているダンスとスケートボードのイベントを昨年から主催している。今年も9月22日に実施した。

 5日のイベントでマイクを握った桜彪さんは「臓器提供カードで、ぜひ自分の意思を表示してみませんか」と呼びかけた。

 意思表示の方法には、健康保険証や運転免許証、マイナンバーカードの意思表示欄や、意思表示カードに記入する方法などがある。臓器提供を「する」も「しない」もどちらの意思も尊重される。

 県内では1987年に初めて献腎提供があって以降、85人が臓器提供した。97年10月に「臓器の移植に関する法律」が施行されてからは、脳死下での提供も可能となった。2010年の法改正で、本人の意思が不明な場合でも家族の同意があれば提供が可能となったが、残された家族が深い悲しみの中で臓器提供について決断せざるを得ないケースが少なくない。家族が本人の意思を尊重できるよう、県などは生前から自分の意思を表示するよう呼びかけている。