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難病患者紹介に150万円 老人ホーム、平均の6倍


難病患者紹介に150万円 老人ホーム、平均の6倍 有料老人ホームが難病などの入居者の紹介料として150万円を紹介会社に支払うとする契約関連の文書
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 パーキンソン病など難病や末期がんの高齢者を対象にした有料老人ホームの一部が、入居者が難病などの場合には、老人ホーム紹介会社に1人当たり最高150万円を支払っていることが4日、分かった。平均の約6倍に当たる。共同通信が老人ホーム関係者から証言を得て、契約関連文書も入手した。 (2面に関連)
 難病・末期の人向け老人ホームでは、入居者に対する訪問看護で不正や過剰な診療報酬の請求が指摘されている。関係者は「過剰な訪問看護で稼ぐことが前提で紹介料が高騰しており、異常な状態だ」と指摘。医療費が目的外の紹介料として流出している形で、対策を求める声も出ている。
 民間の有料老人ホームへの入居を考える人にホームを紹介する事業者は、少なくとも全国に約500ある。紹介会社は、1人入居するごとにホーム側から紹介料を受け取る。所管する法律はなく、紹介料の設定は契約に委ねられているため、いくら高額でも違法ではない。
 厚生労働省の2020年度調査では全国平均は1人約23万円。関係者によると、地域によって相場は異なり、ホームが供給過剰のエリアでは入居者の取り合いになるため、紹介料が高くなる。
 大阪府を中心に関西では近年、難病などの入居者の紹介料が高騰。今回判明した150万円のケースも、大阪府内の紹介会社と老人ホーム運営会社が今春に交わした契約だった。
 これとは別に、大阪府内に本社を置く老人ホームは22年9月、高額の紹介料を支払うとのチラシを紹介会社に送付。要介護4、5の重度で訪問看護を毎日3回提供できる難病や末期がんの人については「紹介料を40万円から100万円にアップする」として、入居者を集めていた。
 難病などの人を対象にした老人ホームでは、多くの運営会社が入居者向けの訪問看護ステーションを併設し、一部が報酬目的で過剰な回数の訪問や報酬の不正請求をしていると指摘されている。