今年、県内でマリンレジャー中に事故に遭った外国人観光客は10月末時点で24人(速報値)となり、うち死亡・行方不明者は7人だった。外国人の事故者、死亡・行方不明者とも第11管区海上保安本部が2001年に統計を取り始めて以降、最多となったことが分かった。
年間4人だった23年の6倍を超えるペースで事故が発生しており、県警や11管は5日、外国人観光客に特化した対策会議を初めて開催した。関係機関で連携を強化し、事故対策を急いでいる。
11管によると、外国人観光客の年間事故者はこれまで、17年の12人が最多で、今年は10月末時点でこの2倍にあたる24人に達している。国籍の内訳は韓国が10人、中国が6人、ほか台湾やオーストラリアなどが8人。10月には宮古島の海岸で韓国籍の観光客が亡くなる事故が3件あった。
県警や11管などはこれまでにも、航空便の機内アナウンスや空港、宿泊施設でのポスター掲示などで安全啓発活動を実施してきた。一方、その多くは日本語のみで、外国人向けの多言語での広報に課題が残っていた。
県警本部で開かれた対策会議では、県警地域課の與儀太一郎水上安全対策室長が、10月末から本部町崎本部の海岸(通称・ゴリラチョップ)や備瀬崎海岸を筆頭に、中国、韓国、英語でライフジャケットの着用などを呼びかけるアナウンスを開始したと報告。今後は各機関で連携し、外国人向けの啓発広報に取り組む方針を確認した。
11管交通安全対策課の小坂和彦課長は、事故後の調査から「自国で道具をそろえた上、格安の直行便で離島を訪れる人も多いことが分かった」と説明。個人で来沖し、レジャー事業者からの安全指導を受けずに海に入って事故にあうケースが多いことを指摘し、「来シーズンに向け、分析しながら対策を図りたい」と語った。
(西田悠)