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陸自イベントで空包訓練 石垣駐屯地 昨年に続き公開へ 住民から反対の声も


陸自イベントで空包訓練 石垣駐屯地 昨年に続き公開へ 住民から反対の声も 島しょ防衛を想定した訓練を公開する陸自石垣駐屯地の隊員=2023年10月7日、同駐屯地内
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【石垣】陸上自衛隊石垣駐屯地が30日に開く一般開放イベントで、昨年に引き続き小銃で空包を使う訓練を公開することが6日までに分かった。昨年、駐屯地から最も近い開南集落の住民は、空包を使用しないよう自衛隊側に申し入れるよう求める要請書を中山義隆市長に手渡していた。駐屯地は今回、開南の代表者にこの日の使用に限るとして空包使用の了承を得たという。だが、本紙の取材では「やってほしくない」と空包使用に反対する開南住民もいる。
 一般開放の目的について駐屯地は「地域住民に駐屯地の活動に係る理解促進および部隊・隊員に対する安心感、親近感、信頼感を獲得」するためとしている。
 昨年の訓練展示(公開訓練)は駐屯地の広場を島に見立て、敵の侵攻部隊と戦闘する想定で行われた。地対艦ミサイル中隊が発射車両を展開し、敵艦隊を迎撃する手順を確認し、一部上陸した敵部隊に対し、隊員が小銃で空包を発射して制圧した。空包に「怖い」とおびえる子どももいた。
 駐屯地は今回、「住民に配慮して」島しょ防衛を想定した訓練内容から変更するとしているが、詳細は「検討中」とした。
 ただ、空包や地対艦ミサイル中隊などは継続して公開する予定。空包の使用は昨年の訓練以降、1年ぶりとなる。
 開南集落の70代男性は両親が戦争体験者でどん底の生活を送っていたと振り返りながら、「戦争につながることは反対。空包使用はやってほしくない」とうつむいた。小さな開南集落で「反対の声を上げづらくなってきている。基本的に反対と思っている人が多いが、声を上げてもどうしようもないとの思いが広がっている」と苦しい胸中を吐露した。 
  (照屋大哲)