2022年統一地方選は、若者世代や女性候補が躍進した一方、少数政党が一定の存在感を示した。宜野湾市では県内で初めてれいわ新選組の議員が誕生し、沖縄市では7月の参院選で議席を獲得したばかりの参政党の候補者が初当選した。参院選比例代表における県内の得票率を見ると、れいわは6.6%、参政党は4.6%を獲得し、全国トップ。一方、自民党や日本維新の会、立憲民主党は全国平均より低く、沖縄と本土では異なる選挙事情がうかがえる。
れいわ公認で宜野湾市から立候補したプリティ宮城ちえさん(63)は2843票を獲得し2位で当選した。36年にわたり県内の小学校や高校で教壇に立ってきた宮城さんは選挙期間中、れいわの支持者の多さに驚いたと振り返る。自身の取った票についても「教え子の票もあると思うが、ここまで票数を獲得できたのはれいわの隠れファンの多さではないか」と語る。
代表の山本太郎氏が駆けつけた街頭演説では、多くの人が集まり、訴えに耳を傾けた。日米地位協定の改定や貧困問題の解決に力を入れるれいわの考えに共鳴したという宮城さんは「(党の)思いを私も発信していきたい」と力を込めた。
統一地方選で4人の候補者を立てた参政党で唯一、当選した新里和也さん(31)は沖縄市議選で1077票を獲得し、最後の1議席に滑り込んだ。20代半ばから政治に興味を持ち、家業の不動産会社代表に就いたことを機に政治コミュニティーに参加するようになった。「10年、20年後の社会のための政治をしたい」と抱負を語る。
新里さんによると、党からの応援は手厚く、街頭での手振りも毎回7~8人の党員が動員され、参院選で当選した神谷宗幣氏も応援に駆けつけた。新里さんは「既存政党に諦めを持っている人たちの受け皿になった」と当選の意義を語る。
一方、明暗が分かれたのがNHK党や維新の会だ。N党の参院選比例での県内得票率は3.2%と全国トップだったが、地方選では擁立した候補者2人はいずれも落選。維新も公認候補3人全員が落選した。
政党間で明暗が分かれる中、議席を獲得した“新興勢力”が地方議会でどのような風を巻き起こせるか。有権者の注目が集まる。
(吉田健一まとめ)