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【識者談話】島の軍事利用、進む可能性 飯島滋明氏(名古屋学院大学教授) 石垣港への米軍艦入港


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 米海軍の掃海艦「パイオニア」が7日、石垣港に入港した。今回の入港について識者に見解を聞いた。

名古屋学院大学教授
飯島滋明

 石垣港では2009年にも掃海艦が「友好・親善」を理由に寄港した。当時総領事だったケビン・メア氏は著書で、寄港目的として先島地域の港を有事に活用する必要があり、その調査目的だったと明言していた。今回の寄港も、軍事目的だと言える。

 今回の寄港にあたり米軍は、寄港目的を当初の「休養」から「通常入港」に切り替えた。これを認めると、寄港が常態化する可能性がある。10月には陸上自衛隊オスプレイが訓練で新石垣空港を使用することが検討されており石垣島の軍事使用が進む可能性がある。

 石垣市の対応にも問題がある。石垣市は日米地位協定の規定により「入港は拒否できない」としている。だが、地位協定も憲法の下にあり、憲法99条の憲法擁護義務のもと市民の命、暮らし、平和のために行動するのが憲法上の首長の義務だ。

 1995年の米兵による少女乱暴事件の際も、米軍は被疑者の身柄を引き渡さなかったことが問題になった。この対応も地位協定上は問題ないが、8万5千人が参加した超党派の県民総決起大会につながった。地位協定で拒否できないのではなく、首長として声を上げることはできる。

 戦前は地方自治はなく地方公共団体は国の出先機関に過ぎなかった。それが、地方の港湾を軍隊が自由に使い、戦争遂行を容易にした。

 現行憲法は第8章で地方自治を保障し、それを具現化した戦後の港湾法がある。戦争遂行のため港湾を使用しようとしても知事や首長の権限で自由に使うことができない。この観点からも、首長が港湾利用について意見が言えないということはない。

 (憲法学・平和学)