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それって矛盾じゃない? 国、普天間は災害時に「公共性」 代執行訴訟では「危険性除去」を主張 爆音訴訟団が批判


それって矛盾じゃない? 国、普天間は災害時に「公共性」 代執行訴訟では「危険性除去」を主張 爆音訴訟団が批判 米軍普天間飛行場=10月11日
この記事を書いた人 Avatar photo 金良 孝矢

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、設計変更申請の承認に関する代執行訴訟と、飛行場周辺住民が米軍機の飛行差し止めなどを求める第3次普天間爆音訴訟で、双方の国側の主張を比較すると、違いが生じている。

 代執行訴訟では飛行場移設による危険性除去の必要性を主張するが、爆音訴訟では飛行場が災害時に「高度の公共性を有する」などとして必要性を強調した。爆音訴訟の弁護団は矛盾点を批判している。

 国は代執行訴訟の訴状で、辺野古の埋め立てについて「普天間飛行場の危険性除去に関わる極めて公益性が高い事業」と評価。設計変更申請を県が承認しないことにより「著しく公益を害することが明らかである」と訴える。飛行場移設が必要だとして、代執行手続きの正当性を主張した。

 一方で爆音訴訟の準備書面では、高台にある飛行場が災害時に住民避難や物資輸送などの役割を果たす公共性があるとして「周辺地域住民の利益が守られることになることは明らかである」と指摘。安全保障だけでなく「周辺地域にとっても大きな役割を果たしている必要不可欠の施設」とも述べている。

 国が裁判に応じて、矛盾する主張を使い分けている格好だ。

 爆音訴訟弁護団の齋藤祐介弁護士は取材に「日本政府が矛盾する主張を裁判の場で堂々としている」と問題視した。那覇地裁沖縄支部で係争中の爆音訴訟で反論していく考えを示した。(金良孝矢)