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オスプレイ屋久島沖墜落、「県議会軍特委」が抗議決議提案へ 与野党で文案調整


オスプレイ屋久島沖墜落、「県議会軍特委」が抗議決議提案へ 与野党で文案調整 屋久島沖で墜落した米空軍輸送機CV22オスプレイ事故についての審議をする県議会米軍基地関係特別委員会=4日
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米空軍の垂直離着陸機CV22オスプレイが鹿児島県屋久島沖に墜落した事故で、県議会米軍基地関係特別委員会(照屋大河委員長)は4日、抗議決議と意見書を開会中の11月定例会に提案することを決めた。委員からは明確に飛行停止を求めない日本政府への疑問が相次いだ。米軍に合わせて墜落を「不時着水」としたり、明確に飛行停止を求めなかったりする政府に「日本は米軍の配下にあるという認識でよいのか」(當間盛夫氏、維新・無所属)と反発する声が相次いだ。

 抗議決議と意見書の議会提案は決めたものの、内容を巡っては与野党間で意見が割れており、文案の調整が続いている。与党側は早期の採択を目指すが、定例会最終日までずれ込む可能性もある。

 与党側は県内に配備されているオスプレイの「撤去」まで踏み込むべきとの声が多い。与党県議の一人は「県民の命を守る観点に立てば当然、撤去するべきだ」と強調した。

 一方で野党・自民側は「撤去は現実的でない」との立場をとる。自民県議の一人は抗議決議や意見書について「出すことは反対しない。ただ求める内容は一時飛行停止までではないか」とした。

 また、県の長嶺元裕基地対策課長は軍特委で、CV22の嘉手納基地への飛来件数が今年1月から11月1日までに22機となり、22年の1年間の13機から大幅に増加していることを説明した。

 島尻忠明氏(自民)は国の事故説明が「不時着水」から「墜落」へと変遷したことに触れ「なぜこういうことになったのか」と疑問を呈し、事故発生からの経緯などをただした。

 比嘉瑞己氏(共産)は「事故を起こしたオスプレイも飛ぶ前に安全確認はしたはずだ。それでも墜落事故が繰り返されている」と語り、安易な「安全確認」に警戒感を示した。

 溜政仁知事公室長は「我々としても安全が確認されてからの飛行(という言葉)では県民の不安が払拭されないと考えている」との認識を示した。原因究明までの間の飛行停止を引き続き求めていくとした。

 また、捜索に漁業者や海上保安庁が協力していることについても、県内での墜落時と「対応に違いがある」と指摘し、安部で墜落した際には政府も飛行停止を求めていたことなど、今回との対応の違いについて、今後政府に対し説明を求めていく考えを示した。

(知念征尚、佐野真慈)