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【記者解説】基地負担減に「逆行」の政府にくぎ刺す 玉城デニー知事の県政運営方針 新たな特徴も


【記者解説】基地負担減に「逆行」の政府にくぎ刺す 玉城デニー知事の県政運営方針 新たな特徴も 県議会2月定例会で所信表明する玉城デニー知事=14日、那覇市
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 玉城デニー知事が発表した2024年度の県政運営方針は、項目自体は前年を踏襲しながら、対策に人員を割かれていたコロナ禍が落ち着いたこともあり随所に新たな施策を加えている。県政の最重要課題と位置付ける子どもの貧困対策について、全庁体制で強力に推し進める姿勢を改めて示した。経済面では人手不足の対応や良好な沿道景観の創出などの施策を打ち出した。一方で、23年には不適切な事務処理などが相次ぎ、県民の信頼感は低下している。内部統制の専任職員の増員配置など体制の強化を図るとしているが、信頼回復は地道な取り組みが必要となる。

  <県政運営方針のポイント>

 今年も安全保障に関する言及は多かった。辺野古新基地建設について、設計変更申請の承認を代執行した国を「沖縄の過重な基地負担の格差を永久化、固定化しようとしている」と表現した。戦後80年を控えた今でもなお、県土に集中する米軍基地の負担軽減や、自衛隊の配備に対する不安感を訴えざるを得ないことが、沖縄の置かれた不条理を表している。

 本来、沖縄全体の基地負担軽減を目指すのならば、自衛隊の配備は米軍基地の整理縮小と不可分のはずだ。だが米軍基地の返還が遅々として進まない一方、住民の理解を十分に得ないままに自衛隊の配備や強化が進められようとしている。沖縄の基地負担の固定化につながりかねない政府の姿勢に、知事は強い言葉でくぎを刺した形だ。

 ただ、日本政府に対して繰り返し求めてきた「対話による解決」については、具体的な道筋は見えていない。司法判断を背に工事を進めようとする政府に対し、どう働き掛けて県民が実感できる成果を獲得できるか、手腕が問われる。

(沖田有吾)