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沖縄県関係6議員支部が国契約企業から選挙前献金 公職選挙法に抵触も 自民5議員、立憲1議員


沖縄県関係6議員支部が国契約企業から選挙前献金 公職選挙法に抵触も 自民5議員、立憲1議員
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 自民党沖縄県連所属の国会議員5人が代表を務める政党支部が、国政選挙直前に国と契約関係にある企業から献金を受けていたことが調査報道グループのフロントラインプレスの調べで分かった。2021年までの10年間に少なくとも総額2040万円あった。識者は公職選挙法が禁じる「特定寄付」の疑いを指摘しており、3議員が返金などをする考えを琉球新報の取材に示した。本紙の調べでは立憲民主党の支部でも1件判明している。

 琉球新報は、フロントラインプレスと調査の一報を報じたスローニュースから資料提供を受けて精査した。

 12~21年の国政選挙の直前に国と契約関係にある企業から自民支部が受けた献金は総額2040万円。内訳は、国場幸之助氏(1区)16件610万円▽宮崎政久氏(2区)11件210万円▽島尻安伊子氏(3区、16年は参院支部)10件695万円▽西銘恒三郎氏(4区)24件385万円▽比嘉奈津美氏(元3区)6件140万円だった。

 琉球新報の取材に対し、国場、島尻、西銘、比嘉の4氏は、寄付当時に国との契約関係を把握していなかったことなどを挙げ、違法性の認識は否定した。その上で、国場、島尻、西銘の3氏は、返金を含めて対応する考えを示した。

 国場、西銘両氏はすでに一部を返金している。国場氏の代理人は「違法性はないと認識しているが誤解を生じさせないことも重要」と回答。21年衆院選から受け取らないよう、事務所内で注意喚起してきたという。西銘事務所は「特定寄付に抵触すると思われるので、国民に疑念を抱かれないよう弁護士に相談し、適切に対応していきたい」と答えた。

 島尻事務所は「国と契約関係にある企業からの寄付については、誤解を招くため、現在、返金も含めて調整中」としている。

 一方、比嘉事務所は寄付を受けた衆院議員時代の支部はすでに解散しているため「道義的見地からの対応も考えようがない」と答えた。宮崎氏は期限までに回答がなかったが、23年10月と24年1月に収支報告書から一部の献金を削除する修正申告をしている。

 琉球新報は野党側の政党支部にも独自に確認。立憲民主党の屋良朝博氏の支部が21年衆院選前に1件10万円の寄付が判明し、同氏は返金の意向を示した。


国と契約関係にある企業から選挙直前の献金の有無(2012~21年)

※自民はフロントラインプレス、スローニュース提供。島尻氏は参院支部の分も含む。自民以外は琉球新報調べ。

自民党への質問

Q1.報道で「特定寄付の疑い」と指摘された寄付について、違法性の認識を教えてください。
Q2.報道で指摘された寄付について、どのように対応しますか。返金する場合はその金額と対象、理由もあわせて教えてください。
Q3.前提となる献金額などについては、スローニュース側に確認をしていますが、もし、事実関係や解釈などに異議がある場合は、教えてください。

A1.当該寄付は全て、政党支部に対する政治活動のための寄付であり、公職選挙法第199条第1項の特定寄付の禁止に抵触するものではなく、違法性はないものと認識しております。

A2.違法性はないものと認識しておりますが、国民から信任を受けて国政に邁進している以上、誤解を生じさせないことも重要であると思料いたします。既に返金対応した企業もございます。

A3.既に返金対応した企業もございます。


A1.回答待ち

A2.回答待ち

A3.回答待ち


A1.当該企業からの寄付については、政党支部への、政治活動を目的とした寄付と認識しております。

A2.国と契約関係にある企業からの寄付については、誤解を招くため、現在、返金も含めて調整中です。尚、個別の内容については差し控えさせていただきます。

A3.特になし


A1.寄付を受けた当時は、受注していた事実は把握しておらず、違法性の認識は無かった。

A2.《特定寄付に抵触すると思われるので、》国民に疑念を抱かれないよう、弁護士に相談し、適切に対応していきたいと考えております。《3件は前に指摘されたので返却している。それ以外は時効もあるので検討中》

A3.特になし

※《 》部分は電話回答で追加


ご質問の政治団体はすでに解散しているところですが、当時のスタッフに確認をしたところ、「政党支部の政治活動に対する支援として頂いている。ご質問の寄附当時、寄附者が国から直接請負を受けているか否かは存じ上げていない。法律上問題はないものと承知している。すでに解散をしていることから道義的見地からの対応も考えようがない。」とのことでした。


公明党への質問

Q1.「特定寄付の疑い」について、違法性の認識を教えてください。
Q2. 今後、「特定寄付」が疑われる寄付についてどのようにご対応されるでしょうか。
Q3.「特定寄付の疑い」について、事実関係や解釈などに異議がある場合は、ご教示ください。

A1.国又は地方公共団体と特別の関係がある者の寄付は違法だと認識している。
A2.受けたことはない。また、今後も受けない。
A3.コメントする立場にない。


立憲民主党への質問

Q1.2021年衆院選は、同10月4日に岸田文雄首相が解散を表明し、同31日に投開票が行われました。その点を踏まえ、屋良様が代表をお務めになっている立憲民主党沖縄県第3区総支部において、2021年9月15日に県内企業から10万円の寄付を受けておられます。同社は2021年4月1日から22年3月31日までを契約期間とする内閣府沖縄総合事務局発注の事業を811万8000円で落札・受注しております。この寄付について、違法性の認識を教えてください。
Q2.この寄付について、どのように対応しますか。また、2019年4月9日告示、同31日投開票の沖縄3区補選で上記のような「特定寄付」が疑われる寄付を受けられたでしょうか。受けられていて返金する場合はその理由をあわせて教えてください。
Q3.事実関係や解釈などに異議がある場合は、ご教示ください。

A1.当該寄付者が国事業の受注業者であることは今回の指摘で初めて知った。国事業の受注後、解散表明前の寄付であり、受注や国政選挙に関係なく、政治活動に関する寄付と受け止めている。寄付は全て法に則って適正に処理しており、違法性はないものと認識している。しかし、今回の指摘を受け、政治に対する不信が高まる中、誤解を招かぬよう返金させていただく。
A2.2019年の沖縄3区補選において、該当するような寄付は受けていないものと認識している。
A3.回答なし


共産党への質問

Q1.「特定寄附の疑い」について、違法性の認識を教えてください。
Q2.2021年までの10年間で「特定寄附」が疑われる寄附を受けられたことはおありでしょうか。また、今後そのような寄附があった場合についてどのようにご対応されるでしょうか。
Q3.「特定寄附の疑い」について、事実関係や解釈などに異議がある場合は、ご教示ください。

A1.公共事業の請負契約をはじめ、国と特別の利益を伴う契約を締結する企業や個人が、国政選挙に関して寄附を行うことは、公職選挙法199条で禁止されている。これは、選挙期間中に限られるものではなく、選挙に関して行われた寄附であれば、選挙期間の前後に行われたものであっても違法になる。このことは、同法の逐条解説などにも明記されている。
A2.「特定寄附」を疑われるような寄附を受けたことはない。政治を歪める企業・団体献金そのものを受け取っておらず、その廃止を訴えている。
A3.「特定寄附」の疑いを指摘された政治家には、事実関係の全容を国民に明らかにする責任があると考える。


社民党への質問

Q1.「特定寄付の疑い」について、違法性の認識を教えてください。
Q2. 今後、「特定寄付」が疑われる寄付についてどのようにご対応されるでしょうか。
Q3.「特定寄付の疑い」について、事実関係や解釈などに異議がある場合は、ご教示ください。

A1.お尋ねの「違法性の認識」については、上脇神戸学院大学教授のご見解と全く同じ認識を持っている。これまで公職選挙法第199条1項の「契約の当事者である者」、そして同2項の「当該会社その他法人」から寄付を受け取ったことはない。

A2.2021年10月31日執行の衆議院議員選挙に初当選したが、当該選挙期間または衆議院解散が事実上確定した10月4日から公示日10月19日までの期間においても公職選挙法第199条に定める「契約の当事者である者」、同2の「当該会社その他法人」から寄付を受け取った事実はない。

A3.「特定寄付」については「公職の候補者(公職の候補者となろうとする者及び公職にある者を含む。)が、その者が公職の候補者である間に政党から受けた政治活動に関する寄附に係る金銭等の全部又は一部に相当する金銭等を自らの資金管理団体に対してする寄附」もある。これについては法令に則り適正に処理し、収支報告書に記載している。