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軍民共用 島民は「反対」6割 波照間空港、賛成の2倍超


軍民共用 島民は「反対」6割 波照間空港、賛成の2倍超 前泊正人町長(右)に申し入れ書を手渡す東金嶺肇さん(右から2人目)ら=22日、竹富町役場
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

 【波照間=竹富】政府が安全保障上必要性が高い民間インフラ施設を指定する特定利用空港・港湾(特定重要拠点)を巡り、竹富町の波照間空港が指定候補に挙がっている件で、市民団体「波照間空港を軍民共用に使用させたくない住民の賛同者会」が島民にアンケートを実施した。回答者(233人)の約6割(57.9%)が「軍民共用使用」に反対と回答し、賛成(27.4%)の2倍以上に達した。

 会は22日、同町役場を訪れ、前泊正人町長に「波照間空港を軍事的な場所として利用しない」ことを求める申し入れ書とアンケート結果を手渡した。

 特定利用空港.港湾に関して、住民を対象にしたアンケートは県内初とみられる。アンケートは1月29日~2月3日に実施。波照間島の人口は462人(1月末時点)で、島在住の18歳以上を対象に主に対面で331枚を配布した。233枚を回収し、回収率70.4%。20~70代以上が回答した。

 「国が軍民共用で使用する調整をしていること」の問いには「軍民共用は認めたくない。滑走路延長はしなくてよい」を選択した人が71人(30.4%)で最も多かった。次いで「共用はどちらかと言えばイヤ、滑走路は今のままでよい」が64人(27.4%)で、計135人(57.9%)が共用や滑走路延長に反対の意思を示した。「共用は仕方ない、延長はできればしてほしい」は44人(18.8%)、「共用は必要で、延長はぜひしてほしい」は17人(7.2%)で、計61人(26.1%)が共用.延長に賛成の考えを示した。21人(9%)は「その他」で、16人(6.8%)が無回答だった。

 町による住民説明会の必要性を問う設問では143人(61.3%)が「ぜひ開催してほしい」を選択し最多だった。

 自由記述では「太平洋戦争を思い出したくない」「静かな島の暮らしが脅かされる」「軍用機の騒音でヤギや牛へのストレスがひどくなる」などと、反対の意見が多かった。一方、「有事に備えた取り組みは必要」と賛成意見もあった。

 会の代表で波照間島在住の町議、東金嶺肇氏は町長に対し「島の住民の意思と民意を重く受け止めてほしい」と訴えた。

 前泊町長は「国や県からほとんど情報がない」ため、町としても住民に説明する材料がそろっていないとした上で、近く自ら島に行き、住民の声を直接聞く考えを示した。

(照屋大哲)