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「核なき世界」言及焦点


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相が4月の訪米時に上下両院合同会議で演説する。広島と長崎に原爆を投下し、今も核大国の米国の議員が一堂に会する場で、自身が掲げる「核兵器のない世界」に向けた具体的な方策に言及するかどうかが焦点だ。
 日本の首相として初めて2015年に合同会議で演説した安倍晋三氏は、原爆投下に一度も触れなかった。日本が米国の「核の傘」の下にあるため、日米同盟の強化にはプラスにならないと判断したとみられる。
 安倍氏については、歴史問題を巡り一部の韓国系団体から演説中止を要求する声も上がった。岸田氏は元徴用工訴訟問題などで「戦後最悪」とまで言われた日韓関係を修復し、超党派の議員から評価されている。
 広島選出の首相として、核軍縮の「現実的で実践的な取り組み」を着実に進めるとも言い続けてきた。戦火を交えた後、同盟国となった日米の連携をさらに深めるためにも、原爆投下を正面から取り上げ、核廃絶を切望する被爆者の思いを率直に伝えることが求められている。(ワシントン共同=高木良平)