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「核汚染水」と強硬姿勢 中国、根深い対日不信


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同】東京電力福島第1原発処理水の海洋放出開始から24日で半年となることについて、中国外務省の毛寧副報道局長は23日の記者会見で、処理水を「核汚染水」と呼んで海洋放出に強硬に反対する姿勢を示した。日本産水産物の輸入停止措置は「合理的で必要だ」と正当化した。政府の意向を反映したメディア報道の影響で、世論の対日不信は根深い。
 処理水を巡る日中の主張はかみ合わず、問題解決は長期化の様相を呈している。会見で毛氏は「日本は国際社会の懸念に真剣に応え、責任あるやり方で核汚染水に対処すべきだ」と要求した。
 「この世界が小日本(日本の蔑称)に破壊されてしまう」。福島第1原発で今月7日に発生した汚染水漏れのニュースが伝わった際、中国の短文投稿サイト、微博(ウェイボ)には日本を非難する投稿が相次いだ。中国外務省は「東電内部の管理が混乱して無秩序であること」が改めて証明されたと主張した。
 中国は「長期にわたり有効な国際的モニタリング(監視)体制」の構築を日本政府に求めている。これに対し日本側は国際原子力機関(IAEA)が関与するモニタリングを通じ、安全性が明確に示されているとして受け入れる姿勢を示しておらず、双方の溝は埋まっていない。
 中国は生態環境の保護を国家安全に関わる問題と位置付けており、海洋放出は「テロ行為に等しい」と拒否反応が強い。海洋放出前から国営メディアを通じた「核汚染水」反対キャンペーンを展開し、国内世論が硬化した経緯もあり、日本に妥協するのは難しい状況だ。