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野党、補選連携進まず 乱立で共倒れ懸念


野党、補選連携進まず 乱立で共倒れ懸念 衆院3補選の候補擁立状況
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 4月の衆院3補欠選挙を巡る野党間の連携が進んでいない。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の国会追及では足並みをそろえるものの、候補者を調整して与党に対峙(たいじ)する機運は乏しい。乱立の結果、政権批判票が分散し共倒れとなる懸念が出ている。
 「金権体質の自民で発言権を持つには、パーティー券をたくさん売って貢献しないといけない。古い政治を変えよう」。立憲民主党の泉健太代表は23日、政治資金規正法違反罪で略式命令を受けた谷川弥一氏(自民離党)の地元である長崎県五島市で訴えた。長崎3区補選は谷川氏の辞職に伴うだけに、裏金事件を争点に印象付ける狙いだ。
 泉氏は今月の党大会で「次期衆院選での政権交代」を宣言。3補選での勝利を足掛かりにしたいところだが、長崎3区では日本維新の会と競合する。維新が擁立を見送る代わりに、立民が東京15区を譲る「バーター」は一時浮上したものの実現しなかった。
 東京15区は維新、共産、国民民主の3党が既に擁立を決定し、立民も独自候補を模索する。国民は島根1区と長崎3区で支援に回ることとの引き換えに東京15区での連携を要請したが、立民は回答を保留。立民選対筋は「泉氏が政権交代を公言した以上、見送りは容易ではない」と明かす。島根1区でも立民と共産が競合する可能性が残る。
 危惧されるのは昨年4月に立民、維新、共産、国民が乱立した衆院千葉5区補選の二の舞いだ。野党4党で自民新人の2倍以上の票を獲得しながら敗れた。立民重鎮は「野党第1党の立民が主導権を取らないといけない。先が思いやられる」と調整不足を心配する。