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今村氏側、報告書提出せず 安倍派、解散団体に支出 識者「資金全て裏金化可能」


今村氏側、報告書提出せず 安倍派、解散団体に支出 識者「資金全て裏金化可能」 「黎明の会」を巡る構図
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 自民党安倍派が裏金の支出先として政治資金収支報告書に記載した今村洋史元衆院議員の政治団体は、そもそも収入を記載する収支報告書を提出していなかった。識者は、収支報告書を提出しなければ、全ての資金を裏金化できてしまうと懸念。過去には首長や地方議員が収支報告書の不提出を理由に重い政治責任を負った例もある。 (1面に関連)
 規正法は政治団体に対し、収支報告書を毎年提出することを義務付けている。故意に提出しなかった場合の法定刑は5年以下の禁錮または100万円以下の罰金で、虚偽記入などと並んで重い罰則が科せられる。
 不提出を理由に辞めた政治家も。2017年、川崎市議が資金管理団体の収支報告書を10年間提出しなかったとして辞職。高知県本山町長も20年、関連政治団体の4年分の収支報告を怠ったことの責任を取り辞任した。
 収支報告書を2年続けて提出しなかった今村氏は前回衆院選で落選。政治資金に詳しい上脇博之神戸学院大教授は「現職議員の政治団体と違い、他の団体は監視の目が届きにくい」と話す。
 事実上の解散団体となっても未報告分の提出義務は残る。今村氏側は事件後の今年1月に初めて提出したが、手続きに不備があったため2月22日現在、公表されていない。上脇氏は今村氏が裏金をどのように記載したかに注目する。「訂正する収支報告書がないので、初めから記載していたような体裁を取れる」と指摘。裏金だったことが分かりにくくなると懸念を示した。