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米国肩代わりに歯止めを 菅原文子さんコラム<美と宝の島を愛し>


米国肩代わりに歯止めを 菅原文子さんコラム<美と宝の島を愛し> 菅原文子
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 野菜には、芯が腐る「芯腐れ病」という生理障害がある。窒素過多など、圃場(ほじょう)環境の悪化が原因だ。売り物にならず廃棄する。日本政治の中心の自民党でこの芯腐れが起き、圃場の外に出される議員も出た。金が集まり過ぎて富栄養になり、倫理観の欠落が常態化したのだろう。派閥を解消した後、派閥にプールした金はどこに行くのか。国庫に編入するのか、自民党本部の資金に繰り入れるのか。そこが肝心だ。

 国民の義務である納税期を前に、「税金、社会保険料と給料から差っ引かれてマジメに払うのがバカらしい」となれば、自民党崩壊どころか国家の崩壊だ。違法行為は処罰されるから、そのような不法行為は国民はできない。自民党国会議員だけが徴税を免れるなら、この国から法の下の平等が消滅したことになる。

 自民党歴代政権は対中国を念頭に「法の支配」と言い続けてきたが、順法精神欠落の自民党の醜悪が白日の下にさらされた今、国家の品格も信用も剥がれ落ちた。どの口が言うと失笑を買うだけだろう。

 自衛隊ミサイル基地が南西諸島で建設され、沖縄県の軍事要塞化が急加速している。さらに怖いのは、空港、港湾の軍事利用も進んでいることだ。軍事利用はいったん決まれば、歯止めが利かない。予算もつき整備が進むという肯定意見もあるが、観光、本土との輸送の利便など、軍事利用を前提条件にせず、沖縄振興に益する整備をまず進め、その後に軍事利用を検討するのが沖縄に寄り添う政治だろう。軍備には限度と節度が大事だ。気が付けば日本が、隣国北朝鮮の「先軍政治」そっくりの国になっていた、とならないように裏金問題と同様の関心を国民が持つ好機が来ている。

 人民の暮らしと命より金一族の権力継承と軍事力増強を国是とする北朝鮮は、イデオロギーの違いこそあれ、戦前の帝国日本にそっくりだ。昭和天皇に軍隊の統帥権があり、神聖視を強要されたその強権に、国民はモノも言えなかった。再び先軍政治にしないために、国会にお任せではなく、緊張感を持って政治を注視しないと間に合わない。

 本紙記事「県内水道管 耐震30%」が目に付いた。ちなみに山梨県の水道管耐震適合率も低く、35.3%だ。別の記事で、小雨で貯水率が下がり、有機フッ素化合物の混入で停止している中部水源からの取水再開をした、とあった。水は生存の命綱だ。

 沖縄県は大量の水を消費する駐留米軍施設と人口を抱えている。沖縄県居住の米兵数と本土全域の合計米兵数はほぼ同数で、沖縄の負担がいかに重いか、この数字で分かる。有事のリスク、騒音、風紀の問題以外にも、県民の命のインフラを圧迫する現実が沖縄にはある。県内の米軍基地が減れば、それだけ生活、観光業、工業、農業に使う水にゆとりが生まれ、大きな安心となる。

 自民党の裏金問題で政治への関心が一気に国民の間に拡大したが、歴代政権が進めてきた辺野古新基地建設の不合理性にも、裏金問題と同様の批判の視線を向ける時だ。ウクライナ、イスラエル支援で疲弊する米国の肩代わりを担う日本の先軍政治に歯止めをかける今がラストチャンスかもしれない。

(辺野古基金共同代表)