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米、オスプレイ再開説明へ 屋久島沖墜落3カ月 安全に不信感「また落ちないか」


米、オスプレイ再開説明へ 屋久島沖墜落3カ月 安全に不信感「また落ちないか」 CV22オスプレイの引き揚げ作業に当たる米軍のサルベージ船。奥は屋久島空港=2023年12月、鹿児島県・屋久島沖
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 鹿児島県・屋久島沖で米空軍CV22オスプレイが墜落し、搭乗員8人全員の死亡が認定された事故から29日で3カ月となった。民間機のいる屋久島空港に緊急着陸を要請しており、事故につながりかねない状況だった。オスプレイの飛行を停止している米軍が近く、オースティン国防長官に再開に向けた計画を説明することが米メディアの報道で判明。一方、屋久島では安全性への不信感が根強く、懸念はくすぶったままだ。
 「滑走路は使用中」。昨年11月29日午後2時半ごろ、国土交通省鹿児島空港事務所(鹿児島県霧島市)の航空管制運航情報官はオスプレイ操縦士に対し、民間機が滑走路にいると伝えた。
 北から向かってきたオスプレイは、いったん空港付近を通過。沖合で旋回し、高度を下げて南から再接近するのを複数の住民が目にしていた。同40分ごろ、洋上に墜落した。操縦士が着陸を強行していれば、民間機と衝突するなど重大な事故に至った恐れもあった。
 事故ではエンジン部から火を噴く様子も目撃された。米軍は全てのオスプレイの飛行を停止。ギアボックスの不具合が原因との見方が出ている。
 米メディアによると、オースティン氏が飛行再開に同意後、日本政府に在日米軍の停止措置解除の予定を通知する。事故を受け、陸上自衛隊も保有するオスプレイの飛行を見合わせているが、森下泰臣陸上幕僚長は29日の会見で「再開時期は予断を持って答えられない」と述べるにとどめた。
 飛行再開に関し、屋久島の漁師川東竜馬さん(46)は「原因究明や対策が進んでも、また落ちないと言い切れるのか」と話した。屋久島漁協の羽生隆行組合長(73)は「防衛のためなら仕方ない部分もあるが、事故が繰り返されないかという心配はある」と漏らす。
 航空ジャーナリストの坪田敦史さんは「米軍は部品の劣化との因果関係を含めて徹底的に調査し、丁寧な説明をして住民の理解を求めていくはずだ」と話した。
CV22オスプレイの引き揚げ作業に当たる米軍のサルベージ船。奥は屋久島空港=2023年12月、鹿児島県・屋久島沖