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災害ケア連携 半数未検討 他県の応援受け入れ、沖縄も 関連死防止に支障恐れ


災害ケア連携 半数未検討 他県の応援受け入れ、沖縄も 関連死防止に支障恐れ 他県から応援に来た災害派遣福祉チーム(DWAT)との連携方法を検討しているか
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 避難所で高齢者や障がい者らをケアする「災害派遣福祉チーム」(DWAT)を巡り、都道府県の約半数は他県から入る応援組の受け入れ手順など、連携方法を具体的に検討していないことが昨年1月末時点での厚生労働省の調査で分かった。自治体職員やノウハウの不足が理由とみられる。大災害時は広域応援が欠かせず、事前の準備が不十分なままでは効果的な人員配置や円滑な活動に支障が出る恐れがある。
 避難所などでは環境の変化が心身の負担となり、食欲や身体機能が衰え、病気や転倒で命を落とす場合がある。こうしたケースを含む災害関連死は東日本大震災で約3800人、熊本地震では死者の約8割を占めた。
 福祉チームは東日本大震災で体調悪化などによる災害関連死が相次いだのを教訓に、全ての都道府県が設置。高齢者らを見守りながら相談に応じるほか、避難所の環境改善、必要に応じて福祉避難所への誘導なども担う。介護や障害、保育などの多分野の人材で構成。能登半島地震、西日本豪雨、熊本地震などでは他県からも応援に入った。
 厚労省の調査によると、他の都道府県から応援の受け入れを想定しているのは43都府県。このうち、応援組との連携方法や情報共有策を「検討済み」は青森、京都、高知の3府県にとどまった。「検討中」は静岡など17都県、「未検討」は神奈川、石川、沖縄など23府県に上った。北海道など4道県は応援受け入れを「想定していない」とした。
 厚労省によると、近年チームを設置した地域では受け入れまで検討が至っていない場合が多く、検討済みの場合でも担当職員不足などの課題があるという。