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浄化槽、法定清掃64% 環境省 下水道未整備地域を調査


浄化槽、法定清掃64% 環境省 下水道未整備地域を調査 浄化槽のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 下水道などが未整備の地域で利用される浄化槽のうち、法で定められた年1回以上の清掃を2022年度に実施したのは64%だったことが4日、環境省の初の調査で分かった。定期的に清掃しなければ機能低下の恐れがある。浄化槽は主に個人管理のため、環境省は自治体を通じて清掃を促し、高齢者世帯に維持管理費を補助支援する。
 調査は23年6月に実施し、集計が間に合わなかった愛媛を除く46都道府県が回答した。22年度の清掃対象で、かつ回答を得た約671万基分のうち、1回以上清掃していたのは約427万基。都道府県でばらつきが大きく、最も高い岐阜は95%の一方、栃木など5都県は20%台だった。
 浄化槽は使い続けると汚泥が蓄積し、詰まりや悪臭の原因となり、生活排水が十分に浄化されなくなる。種類によって異なるが、浄化槽法は最低でも年1回の清掃を義務付けている。
 岐阜県は、業者間で清掃の実施状況などを電子データで一元化し、自治体と共有している。環境省の担当者は「デジタル化の先進事例として参考にしてほしい」と話す。
 環境省によると、家庭用浄化槽の清掃費は1回数万円程度。高齢者世帯には重い負担となるため、清掃費や検査費などを国や自治体が補助する仕組みを23年度補正予算で創設した。

 浄化槽 各家庭の庭先などに埋設され、トイレや風呂、台所から出る生活排水を微生物で浄化し、排水溝や河川に流す装置。生活排水をまとめて処理する合併処理浄化槽と、トイレの汚水のみを処理する単独処理浄化槽があり、政府は合併式への切り替えを促している。設置基数などは自治体が台帳で把握しており、環境省によると2021年度末時点で全国に約752万基ある。