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次期戦闘機の輸出容認へ 公明、厳格歯止め条件に


次期戦闘機の輸出容認へ 公明、厳格歯止め条件に 次期戦闘機を巡る動き
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 公明党は、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国輸出について、紛争助長を避ける歯止め策の厳格化を条件に容認する方向で検討に入った。従来は慎重だったが、輸出の必要性を訴えた岸田文雄首相の国会答弁を評価した。8日に行う自民党との政調会長間協議で具体化に向けて議論する。政府、自民は月内にも合意したい考えだ。複数の関係者が7日、明らかにした。
 歯止め策として、国際共同開発する防衛装備品のうち、第三国輸出を解禁するのは次期戦闘機に限る方向。輸出先から紛争当事国を除外した上で「防衛装備品・技術移転協定」を日本と締結した国などに絞る案が出ている。輸出契約を交わす前に、与党の事前審査を条件付けたい考えだ。戦闘機は武器の中でも殺傷能力が高いだけに、輸出先での適正管理などに実効性を持たせられるかどうかが問われる。
 公明の北側一雄副代表は7日の記者会見で、次期戦闘機の2035年配備開始を目指す日英伊3カ国の目標を踏まえ「無制限に防衛装備品が海外に輸出されていくことはあってはならない。どんな国を対象とするのか。国際情勢も現時点では見えないので、慎重に検討したい」と指摘した。
 公明の外交安全保障調査会の会合では、出席者から「仮に輸出をする場合には歯止めが必要だ」といった意見が出た。高木陽介政調会長は8日の協議で自民側に伝える考えを示した。
 自民の渡海紀三朗政調会長は党会合で「交渉相手の公明が前向きな姿勢になった。まだまだ安心はできないが、できるだけ早急に詰めて、結論を得たい」と述べた。
 政府は当初、昨年12月の輸出ルール緩和に合わせて第三国輸出を解禁したい考えだったが、公明が国民の理解を得られないとして応じず、結論を先送りした。
 首相は今月5日の参院予算委員会で、日本が求める戦闘機の性能を実現するには英伊と対等な立場となる必要があると訴えていた。
 次期戦闘機 日本、英国、イタリアが2022年12月、共同開発に合意した新たな戦闘機のこと。開発計画は「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」と呼ばれ、35年までの完了と配備開始を目指す。共同開発は3カ国の技術を結集し、コストやリスクを減らすのが狙い。航空自衛隊はF2戦闘機、英国とイタリアはユーロファイターの後継と位置付ける。第5世代と呼ばれる現在の最新鋭機を上回るため、高性能なセンサーやステルス性、ネットワーク戦闘を重視している。