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米戦闘艦 日本で補修へ 進む一体化、緊張恐れも


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日米両政府は、日本の民間企業が在日米海軍の艦船の大規模補修に従事できるようにする方向で調整に入った。4月の岸田文雄首相の訪米時にバイデン大統領との間で協議する見通しだ。日本側が手がける艦船の対象を広げ、本格的な補修を可能にすることで在日米軍の運用を効率化。軍備を増強する中国をにらんだ日米の抑止力向上を図る。一方、日米の一体化の進展が中国や北朝鮮を刺激し緊張を招く恐れもある。複数の政府関係者が8日、明らかにした。
 対象は、日本周辺に展開する米海軍第7艦隊(神奈川県横須賀市)所属の艦船。従来は定期的な大規模補修のたびに米本土に戻っていた。日本でのメンテナンスにより、運用休止期間の短縮化や費用抑制が見込まれる。
 防衛省関係者によると、日本企業はこれまで主に輸送艦など直接戦闘に加わらない米艦船を補修してきた。今後は駆逐艦などの戦闘艦を含め、整備や分解修理といった本格的な補修も担わせたい考えだ。
 日本政府は、企業が国内の造船所で作業を請け負えば経済的な波及効果も望めるとみており、施設整備や技術支援を検討する。米側には雇用が奪われるとの懸念もあることから、具体策は日米防衛当局間で詰める。
 米ワシントンで4月10日に予定される日米首脳会談では、同盟関係の強化を目指し、安全保障と経済分野を柱とする共同声明を発表する方向。中国の海洋進出を踏まえ、インド太平洋地域での防衛協力拡大を打ち出す。
 木原稔防衛相は昨年10月の訪米時にワシントンのシンクタンクで講演し、米艦船の「MRO(整備、補修、分解修理)」について日本の協力を拡大する必要性に言及していた。