有料

共同親権法案 国会に 離婚後養育、多様化に対応 虐待・DV除外、審理に課題


共同親権法案 国会に 離婚後養育、多様化に対応 虐待・DV除外、審理に課題 離婚後の親権のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は8日、現行では認めていない離婚後の共同親権を可能とする民法などの改正案を閣議決定し、国会に提出した。離婚後も父母双方が養育に関わりたいとの声が出るなど、家族関係の多様化に対応した見直し。親権の在り方は父母が協議で決め、折り合えなければ家裁が判断する。家裁は、虐待やドメスティックバイオレンス(DV)の恐れがある場合などは共同親権を認めない。成立すれば2026年までに施行の見通し。 (23面に関連)
 離婚後の家族関係が大きく変わることになる。「虐待・DVは密室で起きることが多く、立証が困難で家裁が見逃す恐れがある」との指摘もあり、適切な審理に向けた家裁の体制整備が課題だ。政府はデジタル手続きによる効率化や裁判官らの研修を進める。
 小泉龍司法相は8日の閣議後記者会見で「社会的ニーズを踏まえ、子どもの利益を中心に組み立てた法案だ。国会で、国民に立法趣旨を理解してもらえるようにしたい」と述べた。
 改正案は、離婚後は父母どちらかの単独親権とした現行規定を改め、共同親権を選べるようにする。施行前に離婚した父母も、単独から共同に変更するなどの申し立てができる。
 家裁は虐待やDVの恐れなどで「子の利益を害する」場合、どちらかの単独親権と定めるとした。協議離婚の際、加害者から共同親権を強いられるリスクを避けるため、離婚後の被害者側の申し立てなどで、家裁が不適切な合意を是正するとの規定も設けた。
 共同親権の場合、進学や子の病気の長期的治療といった重要事項は父母双方で決定。意見が対立する場合は家裁が判断するが、虐待・DVからの避難など「急迫の事情」があれば、単独で親権を行使できる。日常的な事柄は一方のみで決められる。
 改正案には、養育費不払いの対策として最低限の支払いを義務付ける「法定養育費」や、別居親と子どもとの面会交流をしやすくする新制度も盛り込まれた。